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July 29, 2014
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みなさん、おはようございます。また痛ましい事件が起きましたね。「人を殺してみたかった」がティーンの口から聞かれるとは。一体何があったのか。

今日は海外の作家が書いた歴史小説を紹介します。

ラウィーニア
Lavinia
アーシュラ・K.ル=グウィン

古代ローマの詩人・ウェルギリウスの叙事詩『アエネーイス』は未完に終わっている。それも、主役アエネーイスとイタリアの一地方の王であったトゥルヌスの一騎打ちの勝負がまさにつかんとする、とてもいい所で。まさに、後世の作家にとっては「さあ、書いて下さい」と言わんばかりの絶好の素材だ。ル・グウィンもこうした誘惑に抗しきれなかった作家の一人である。ただ、彼女の物語の作り方は一風変わっている。

 語り手は『アエネーイス』で一言もしゃべらないラウィーニアだ。トロイのヘレンと同じく争いの元になっているというのに、一言も彼女の言葉が残されていない、お飾りのヒロイン。だが、本作の彼女はそうではない。


かの詩人がわたしを歌った部分は、わたしの髪に火がついた瞬間を除いて、あまりに退屈。象牙が紅の染料に染まるように、乙女のわたしが頬を染めた場面以外、まったく精彩を欠いている。ほんとに陳腐―だから、もうわたしはがまんできない。もし、これから何世紀も存在し続けなければならないのなら、せめて一度、口を開いてしゃべりたい。彼はわたしにひと言もしゃべらせてくれなかった。だから、彼にはもう黙ってもらってわたしがしゃべる。


 と、あろうことかウェルギリウスに噛みついて、自分の物語を語ろうとする。さて、なぜ彼女が自分より遥か後に登場する自分の事が書かれた著作を知っているのか。ル・グウィンは『アエネーイス』の作者と語りあうという方法で彼女にバック・トゥ・ザ・フューチャーをやらせるのだ。未来をあらかじめ知らせておく設定は、主人公が決められた未来に向かってただ追っていくだけに過ぎないと、物語をとてもつまらなくしてしまう。ところが、名作に噛みつくくらいの勢いのあるヒロインが、そんなありきたりの反応を見せるわけがない。未来の争いも未来の夫の死期も全てあらかじめ知った上で、それらを一人でのみこんで、自分の手で運命を切り拓いていこうとする逞しい女性だ。支配欲の強い母との不仲に胸を痛める若い娘から半神半人の妻となり、後に王となる息子を育てる母へと成長していくラウィ―ニアは、現代的な要素を持った魅力的な女性として描かれている。

 『アエネーイス』は自らの統治の正当性を明確にするために、アエネーイスの末裔を自称する時の為政者・アウグストゥスの命により、未完のまま刊行された。だがその中では、戦の度に傷つく人々や、平和を維持するために、無名の人々が果たした役割などはクローズアップされない。未来においてどんなに名著と崇められても、途中でウェルギリウスが死んだのでは、彼の意図すら置き去られた不遇の書だったのではないか。その書で一切言葉を与えられなかったラウィ―ニアの姿を借りて、ル・グウィンは、ウェルギリウスが本当に書きたかった物語を、見事に引き継いだと言えよう。


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最終更新日  November 3, 2019 07:50:59 PM
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