映画・海外ドラマ・本　ひとこと言いた～い

みなさん、こんばんは。
宮尾登美子さんが亡くなりましたね。
また、マックの異物騒動は何なんでしょう、歯とか…意図的なのか、それとも作業現場の問題なのか。
ちょっとマックにいこうという気が失せますね。解決してほしいものです。
今日は昨日紹介した漫画の第二巻を紹介します。面白いですよ。

応天の門（2）
灰原薬

　「ある男が高位の女性を連れて駆け落ちしたが、途中で鬼に女性は食われてしまった」という話が伊勢物語に残っているが、真相は別にある。高位の女性は、時の権力者、藤原良房が帝の妃にと育てていた姪・藤原高子で、連れて逃げた男は在原業平。しかし途中で追手である彼女の二人の兄に捕まってしまい、高子と業平は引き離されてしまった。この時（漫画設定では）高子11歳、業平28歳で、連載開始時はこの時から10年が経過している設定。伊勢物語では「‘あれは真珠かしら’と尋ねる姫に‘あれは露ですよ’と応えることが出来なかった。露と応えて自分も消えてしまえば良かった」と男＝在原業平が悔いているが、漫画では逃避行の間に言葉を交わし、年の差カップルでありながら何とも甘い雰囲気が漂う色男・業平の面目躍如の場面になっている。

　さて本巻には、この高子の屋敷で怪しの者が出た！という騒ぎが起こり、過去の経緯から当然業平は出入り禁止、彼に頼まれて道真が事件解決に乗り出す「藤原高子屋敷に怪の現れたる事」、道真の教師である橘広相から、夜に写本をしていると物の怪が現れるという巻物を道真が引き取る「怨霊出ずる書の事」、道真の学友・紀長谷雄が購入した鏡が正規な貿易で入手されたものでないことを突き止める「鏡売るものぐるいの事」が収録。一巻に比べあまり業平が活躍する場は登場せず、正直バディものとは言い難い。その代わり、高子の兄で藤原良房の養子である基経が道真の動向に目を光らせていたり、業平が道真を狩りに誘った際に、父・是善が異様な反応を見せたりと、菅家及び道真の過去に焦点が当てられており、今後藤原家との関わりが出てくることが暗示されている。

　一巻で英国ドラマ『Sherlock』のタイトルロールとの共通点を挙げたが、本巻にもある。「怨霊出ずる書の事」では道真が紀長谷雄を実験台にして怨霊の正体を突き止める件があり、これが奇しくもドラマ版『バスカヴィルの犬』でシャーロックがジョンにやった事と同じ。論理的な説明でこの事件を解決する道真は相変わらずのリアリストだが、一方で


知っていることと出来ることは違う


という台詞も口にして、知識人―俗世との関わりを絶つ人生―の限界も知る（「鏡売るものぐるいの事」）。今後彼が入っていく応天の門のうちで起こる様々な政争は、それこそ知っている―知識―だけでは太刀打ちできないことばかりの連続だ。
「一つ知った」道真が兄の死の謎―恐らくは藤原氏と関わっている―を突き止めた時、どのような行動に出るのか、そして何が出来るのか。その時業平はどう関わってゆくのか。今提示されている様々な引きがどう収束に向かっていくのか楽しみ。



【楽天ブックスならいつでも送料無料】応天の門（2） [ 灰原薬 ]楽天ブックス