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2019/10/18(金)01:04

全ての人を救おうとする最澄~仏教 政(まつりごと)と出会う~漫画『阿・吽(2)』

漫画・アニメ(93)

みなさん、こんにちは。昨晩からインターネットが繋がらず難儀しました。 電話会社の人に来てもらってようやく復旧しました。でも「機器の取り換えに3日かかる」というので 「仕事もしているから差し支える、何とかしてもらえないか」と自覚してクレームを言ったところ訪問で来てもらえたのです。困っているということがなかなか伝わらずイライラしました。 ともあれ良かったです。 阿・吽(2) おかざき真里 平安時代の二人の天才、最澄と空海を描くシリーズのコミックス第一頁目は、どうやら黒をバックに白抜きの文字を載せることにしたらしい。前回の空海に続き二巻目は最澄の願文抜粋が載っている。その文言で最澄は「愚か者の中で最も愚か(中略)最低以下の最澄」と、自らをとことんこき下ろしている。謙遜しているのかと思いきや、本人は心からそう思っている。彼の考えている‘最高’は、一般人の考えの及ばないほど高みにあるからだ。  既存仏教に背を向けて山で修行に勤める彼のもとを、弟子志願の男達が訪れる。「ああ凄い、この人に少しでも近づきたい」と、最初は凡人達は憧れる。しかし、いつまでたってもその距離が縮まらない時、否、縮まらないと知った時、劣等感と挫折のループから抜けられず、諦念と共に日々を過ごすことになる。それは、天国を望みながら地獄に生きるようなものである。では、最澄の目指す高みとは、いかなるものか。  最澄は自分を堕落させようと女性を送り込んできた母であっても、人殺しをして食べ物を手に入れた男であっても、仏教により全ての人々が救われるべきだと考えている。しかし、そんな事が実現するのだろうか。仏教というのは一つの決まった教えである。その教えが、様々な体験をして一つの側面においても異なる意見を持つ、全ての人に有効たり得るのか。  彼の心が波立てば経典の文字も浮足立ち、時に体全体を文字が覆ってしまうなど、経典の文字=教えが最澄と一体となったかのようなカットが2か所ほど登場する。経典の教えは考えればはっきりと答えが出るが、人はそう簡単に答えが出るしろものではない。最澄の前に現れた人殺しが嫌悪していた「面倒くさく」「勿体ない」ものがいっぱいつまっている。そのややこしき人間に対して、あまりにも真っ直ぐすぎる最澄は、どんな答えを導き出すのか。  いっぽう、私心の無い彼を利用しようとする男も表れる。和気清麻呂―ときの天皇の寵を受けた道鏡の野望を打ち砕いた男は、オノナツメさんの描く男性キャラに少し似ている。清廉潔白を貫いたという史実とは異なり、人やこの先の世を操ろうとする怪しい存在に描かれている彼によって、時の最高権力者である桓武天皇と最澄は出逢わされる。桓武天皇もまた「愛」で全てが解決すると信じている理想主義者であったが、親子兄弟が殺し合う権力闘争や、飢饉や氾濫の絶えない世の中で次第に理想を見失う。理想を未だ抱き続ける最澄と、打ち砕かれた理想の代わりを求める桓武天皇の出会いは、宗教と政治に、そして世の中に何をもたらすのか。「この出会いが最澄にとって幸せなものとなったのかはわからない」というテロップが不安を煽り落ち着かない。 【楽天ブックスならいつでも送料無料】阿・吽(2) [ おかざき真里 ]楽天ブックス

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