2017/05/16(火)00:07
「人間の最大の罪は不機嫌である。」なんて言わないで ゲーテさん!~短編集『キャサリン・マンスフィールド傑作短篇集 不機嫌な女たち (エクス・リブリス・クラシックス)』
みなさん、こんばんは。みなさんは不機嫌になることってありますか?
この短編集は人が不機嫌になる瞬間を捉えています。
キャサリン・マンスフィールド傑作短篇集 不機嫌な女たち
The Collected Fiction of Katherine Mansfield
(エクス・リブリス・クラシックス)
ある日浴室に入っていた女性は、「自分が死んだらこんな感じなのかしらね…」などと夢想する。しかし実際に家の前に柩が来た時には、全力で「間違いだから!」と拒否。
『間違えられた家The Wrong House』はこんな話だ。人は簡単に上機嫌から不機嫌になり、またその逆もしかり。そしてキャサリン・マンスフィールドは、彼や彼女を、決して上機嫌のままにはしておいてくれない。
『幸福Bliss』はもっと残酷だ。夫とラブラブで子供もいて、家で開くパーティにやってくる友達もセレブ。「ああ私って何て幸せなの!」と大喜びのバ―サ。その客の中に、見るからに冴えない女性が一人いた。バ―サがこのまま幸福でいてくれればドラマは起こらない。しかしこの後ある事実が彼女を奈落に突き落とす。
男達にだって不機嫌の波はやって来る。『蠅The Fly』は男が蠅になってしまって不機嫌に…という話ではない。特に楽しい気分ではない知人の相手をしていた会社社長は、彼が亡くなった息子の墓に詣でたと聞いてショックを隠せない。彼はまだ息子の死を引きずっていたのだ。その時彼はインク壺で溺れる蠅を見つける。この後彼が取った行動は…。
「不機嫌でいても仕方ない。だから気を取り直して前に向かって行きましょう!」
キャサリン・マンスフィールドは、そんな事は一つも言ってくれない。
その代わりに言ってくれるのは、これ。
「ほうら、あなたにだって、覚えがあるでしょう?」
思わずどきりとする極上の微笑みと共に。
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