映画・海外ドラマ・本　ひとこと言いた～い

みなさん、こんばんは。今日はちょっと暖かかったですね。
カストロの相方とも言っていいチェ・ゲバラが亡くなった事件は世界でも報道されました。
しかし変わらぬ友情に見えたこの二人にも亀裂があったとは…。

カストロ下
Castro
セルジュ・ラフィ
原書房

アメリカは34代アイゼンハワーから43代ジョージ・W・ブッシュ(息子)まで大統領が変わり、対立するソ連では連邦自体が消滅した。にもかかわらず、その間カストロはずっとキューバの国家元首だった。曲がりなりにも米の傀儡政権を倒した革命家の要素が強かった上巻に対して、下巻では政権維持のために独裁者と化していく姿が描かれる。そして最後の盟友であったチェ・ゲバラとも遂に決別する。上巻がカストロの上昇の物語とすれば、下巻は地位は不動ながらも、彼のイメージに関しては著しく下降していく物語だ。

　映画『チェ』では為政者カストロに対してあくまで革命家である事を選んだゲバラー生き方が違う故に別れざるを得なかった二人―という描き方をされていたが、真相はそう美しいものでもないようだ。ボリビア軍に囚われたゲバラを助けるチャンスがあったにも関わらず、みすみすカストロが見過ごした可能性も示唆されている。

　キューバ危機というと戦後史上屈指の出来事に挙げられ、「アメリカのケネディとソ連のフルシチョフが手を組んで第三次大戦を阻止した」というのが通説だが、二大強国の狭間で当のキューバがどう感じていたかはあまり着目されない。キャスティングボートを握った気でいたのに、自分の頭の上で大事な事が決められていた状況に、カストロが愉快であったはずはない。独裁制を敷くには有利だった狭い国土も、国家再建計画を実施する上では資源が足りないなどのマイナスポイントに転じる。正直、今危うい隣国とさして違いはないような歴史を辿ってきており、健全な国家とはとても言えない。一族独裁とも言える歴史を半世紀辿ってきた国家が、彼の弟ラウルがいなくなった後にどうなってしまうのか。国交正常化はしたものの、米国との関係も気になるところである。



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