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2018/04/06(金)00:00

王妃の髪結いは二度死ぬ!~評伝『マリー・アントワネットの髪結い:素顔の王妃を見た男』

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みなさん、こんばんは。フランスでギロチンにかけられた王妃マリー・アントワネットはご存じでしょう。でも彼女が当時のファッションリーダーだったことは浪費のマイナスイメージで消えてしまいがちです。そんな彼女の強力な支援者の伝記を紹介しますね。 マリー・アントワネットの髪結い:素顔の王妃を見た男 Marie Antoinette’s Head ウィル・バショア/著 阿部寿美代/訳 韓国ドラマに登場する女性達も重そうな鬘を身に着けているが、ベルサイユ宮殿では何と船の模型を頭に乗せている貴婦人もいた。重くてシャンデリアにぶつかりでもしたら火事にあいそうなデザインを考案したのは本編の主人公、レオナール・アレクシス・オーティエだ。櫛一つを持って田舎から革命前夜のパリにやってきたレオナールは、最初はデュ・バリー夫人、次にマリ―・アントワネット王妃の知己を得て、一躍時代の寵児に躍り出る。パトロンに頼るだけでなく、レオナールはアントワネットに自身が流行の発信者となることを進言し、髪結いの学校を設立する。卒業した生徒達が新たな顧客を得ることで、自身のデザインを広める事ができるわけで、企業家としても優れていた。  そこまでならサクセスストーリーなのだが、周知の通りその先にはフランス革命がある。窮地に陥ったフランス国王夫妻を救うため、何とレオナールはイギリスに渡ったり先に亡命した王弟達を援助したりと、スパイまがいの事までやってのける。  とはいえ、どこまで本当かわからないという難点もある。全部がとは言わないが、ガスコン(ガスコーニュ人)は何でも大げさに言う所がある。レオナールはガスコーニュ出身であり、彼自身の記述を裏付ける第三者もいない。革命に巻き込まれて死んだ中にレオナールの名前があるが、彼には他に兄弟がおり、誰が犠牲となったのかもわからない。記述全てを鵜呑みにするのは危険であると本書でも述べられているが、その辺りが、未だにこんなドラマティックな生涯ながら映画にも小説にもなっていない所以かもしれない。 【送料無料選択可!】マリー・アントワネットの髪結い 素顔の王妃を見た男 / 原タイトル:Marie Antoinette’s Head[本/雑誌] / ウィル・バショア/著 阿部寿美代/訳CD&DVD NEOWING

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