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2019/03/11(月)00:00

とばっちりはジョージ・クルーニー 傾いた家の理由は?~ミステリ「完璧な家」

海外のミステリー&ファンタジー小説(723)

みなさん、こんばんは。 地震当初は傾いたマンションが偽装建築で話題になりましたよね。 本編の家も、表紙がどこか変なのです。 完璧な家 Behind Closed Doors (ハーパーBOOKS) B・A・パリス  郊外の豪華な邸宅に被せた表紙タイトルの「家」の文字だけが傾いている。その前の「完璧な」を打ち消しているような、意味深なデザインだ。原題は「Behind Closed Doors」。ドアの向こうにある世界=家族を、他人は垣間見ることができない。  ダウン症の妹ミリーを両親の反対を押し切って育てたグレースは、所謂バリキャリだった。結婚は妹との同居が条件であり難しかったが、負け知らずの弁護士ジャックと出会う。姓がエンジェルなんて出来すぎだが、ハンサムで優しい彼は妹との同居にも積極的で、グレースはすっかり夢中になる。  本作は、現在/過去パートが交互に登場。「現在」パートはある程度結婚して時間が経った設定で、新婚旅行の写真を見て招いた友人たちと楽しむシーンから始まる。しかし語り手がグレースなので、読者は彼女が常に緊張感を漂わせて生きていることにすぐに気づく。「なぜ」を明かすのが過去パートであり、「現在」パートは虐待問題をメインに扱う“女性の味方”のようなイメージを巧みに装うジャックとグレースの攻防戦になる。といっても、常にジャックが先手をうち、その度にグレースが精神的に打ちのめされる場面が続くので、例えフィクションでも読んでいて気分の良いものではなかった。しかし、どこかでこの状況が逆転される時がくるはずだと信じて頁を繰った。  唯一の味方は妹だが、突拍子もない事を言ってしまう危険性がある。そこでグレースがスケープゴートに選んだのがジョージ・クルーニーだ。知能が劣っているわけではないミリーもジャックの裏の顔に気づく。しかしグレースは「ジャックを嫌いと言ってはだめ」と言い、その代わりに「ジョージ・クルーニーを嫌え」とアドバイス。なぜクルーニーなのかは、彼がクルーニー似だから。というわけで、会ったこともない相手にネタにされ、嫌われてしまったジョージ・クルーニーがちょっぴり可哀そうだ。まあこれも、有名税ということで。 ​完璧な家 (ハーパーBOOKS) [ B・A・パリス ]​​楽天ブックス​

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