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カテゴリ:イギリスドラマ
みなさん、こんばんは。現エリザベス女王を主役に据えた大胆なドラマシリーズ「ザ・クラウン」Season2を見ました。
やっぱり見ごたえありました。最後はエリザベスとフィリップ、二人の物語なんだなぁと。 ザ・クラウン Season2 The Crown Season2 出演 クレア・フォイ ジョン・リスゴー ジャレッド・ハリス マシュー・グード ジェレミー・ノーサム グレッグ・ワイズ アントン・レッサー アレックス・ジェニングス 監督 スティーヴン・ダルドリー 製作総指揮&脚本 ピーター・モーガン テーマ音楽 ハンス・ジマー S2E1~E3はスエズ危機でつまずいたイーデンの失脚とマクミラン首相就任が描かれる。両首相は就任時共に「前任者よりうまくやってみせる」と意気込んでいたはずだが共に病気を理由に退陣する。彼等の前任者ウィンストン・チャーチルがいかに強靭な政治家だったかということを示す。 S2E1~E3はまたフィリップ王配とエリザベス女王の夫婦の危機も描かれる。親友にして秘書の離婚騒動が原因で髭生やし競争も海軍提督ごっこも全て諦めなければならなかったフィリップが宮殿の年配者達に髭を剃らせて意趣返しするも“いつも二番手”のポジションに。 第1話誤算[Misadventure] 5ヶ月間の外遊に出発する夫フィリップと、彼の秘密を知り心乱れるエリザベス。イーデン首相は、スエズ運河国有化を宣言したエジプトへの攻撃を画策する。 この回冒頭、夫妻が船で話し合う場面が第3話に続く。 前シーズン第一話ではラブラブだった二人の視線がもう重ならない。「お互い奔放な相手をパートナーに選んだ」とエリザベスに言うフィリップの父マウントバッテン伯。スエズ危機勃発により第二次中東戦争へ。先の戦争とは異なりアメリカの不参加がイギリスを窮地に。 二人の不仲が話題になっている現在から一気にそもそもの発端に戻る。近寄りそうに見えて遠ざかってしまうエリザベスとフィリップ。相変わらず自堕落なマーガレット。劇場から女王をガン見したり不敵に微笑んだりするプリマドンナ。実話だったら怖い。 第2話男の世界[A Company of Men] 連絡を待つエリザベスをよそに、フィリップは外遊を満喫。その間、彼の個人秘書パーカーの離婚問題によって、王室には危機が忍び寄っていた。 シドニーオリンピックの開会宣言をはじめとする外遊生活は皆が想像するようにお遊びでなく漂流していた漁師を家族の元に送り届けるなど意義ある行為も含まれているのにS1から続くランチクラブのスキャンダルがフィリップを窮地に追いやる。 自分に気があると思っていた女性記者が自身の出生(父親の浮気、母親の病院、姉の結婚相手)などスキャンダラスな面(Season1でチャーチルが言及してた点)に関心があったと知って怒り出すフィリップ。遠く離れた妻の声についホームシックに。 第3話リスボン[Lisbon] イーデンの失脚後、マクミランが新首相に。エリザベスは、夫婦関係の危機を煽るマスコミへの対策として、フィリップを迎えにリスボンへ向かう。 Episode1のエリザベスの質問「結婚生活を続けていくために必要なものは」へのフィリップの答えがこれ。王配という称号を貰い女王と並び立ち部下達の髭を切らせる!「子供が欲しい」というエリザベスに「税金泥棒を増やす気か」っていうフィリップの返しはナイス。 夫を迎えに行き夫婦円満を演出するエリザベス。今回から登場のマクミラン首相を演じるのは『刑事モース』 でブライト警視正を演じたアントン・レッサー。薬を手にまるでヤク中のようだったイーデンに引導を渡したまでは良かったが彼も家庭内に問題がありそう。 第4話2人だけの秘密[Beryl] 過去の辛い経験から、結婚を焦るマーガレット王女。ある日、彼女は血筋や位ではなく、ありのままの自分を見てくれるカメラマンのアンソニーと出会う。 世界中に知られた恋愛スキャンダルで怖気づかれ寄って来る男子は家柄は良くてもだらしなく。男運の悪いマーガレット王女の前に現れたのは家柄も財産もなく才能はあるカメラマン(のちに伯爵)。冒頭とラストに登場するオートバイは新しい時代、自由の象徴? 原題Berylは緑柱石でアンソニーと二人だけのマーガレットの呼び名。アンソニーを演じるマシュ―・グードは『ダウントン・アビー 』でもメアリーお嬢様の再婚相手カーレーサーを演じていて名家の女性の結婚相手として程よく品ある感じが好まれるのか。 結婚10年目「夫婦は本人よりも相手の事が見えてしまう」とスピーチするフィリップ。妻の不倫が皆に知れ渡っているにも関わらず結婚生活を維持するマクミラン首相夫妻。結婚など考えていないマーガレットとアンソニー。世代の異なる3カップルの物語。 S1から繰り返し描かれるマーガレットとエリザベスのSibling Rivalry。脚光を浴びることを望むマーガレットと普通の暮らしを望むエリザベス。しかし歴史は二人に全く逆の人生を歩ませお互いが望んだものを相手に与えた。 第5話操り人形[Marionettes] 貴族が書いた批判記事が引き金となって、エリザベスは国民から女王の存在意義を問われてしまう。苦悩する彼女は、王室存続のために大きな決断を下す。 女王を批判する貴族がテレビ局から出るなり殴られて「あらいい気味」と思った女王母娘だが世間の反応は逆だった。神性と人間味の間でバランスを取る王族。マーガレットのヘアデザインのスタイリストはヴィダル・サスーン(あらおしゃれ)。 貴族が公然と女王を批判できるなんて凄いな、開かれてるな、というのが第一印象で提言を殆ど受け入れたエリザベスの太っ腹にまた感動。ラジオでのクリスマススピーチからテレビで映像と共に送られる君主のメッセージ。戴冠式放送といい本格的テレビ時代の到来。 マーガレット王女の恋愛にあれだけ国民の支持が集まったのは彼女の行動が奔放に見えてもより国民感情に近かったからなのか。その流れで後にダイアナの死の際により国民の王室への要求は強くなるのも納得。庶民改め国民との謁見に臨む皇太后と女王。 第6話暴かれし過去[Vergangenheit] 第2次世界大戦時の極秘文書に記された、伯父ウインザー公の暗い過去。それを知ったエリザベスは、公務復帰を企てる彼を許すべきか葛藤する。 アメリカの情報公開制度に後押しされて隠されてきた王室の過去を明かすことに。「あなたは自分を許せるのか?」というエリザベスの問いが最後通牒。冒頭場面ではジャレッド・ハリスやジョン・リスゴーなS1メンバーが再登場。 聖別されなくてもずっと国への責務と国を失くした国王としての意識を引きずってきたウィンザー公の暗躍。祖国復帰を目指すが戦争中のヒトラーとの過去が影を差す。しかしよくドラマとはいえここまで書きましたね。 第7話結婚の儀[Matrimonium] かつて永遠の愛を約束したピーターの婚約を知って、マーガレットはアンソニーとの結婚を急ぐが、エリザベスの懐妊によって計画が狂い出す。 今度はすんなり結婚かと思いきやエリザベス女王の懐妊と重なるとそちらが優先されるんですね。可哀想。それにしても王女の結婚相手かなりぶっ飛んでますね。そして屈折している。自分の結婚でもらえる爵位をずっと自分を下位に位置付けてきた母親への意趣返しにしてるんですね。演じるマシュー・グードはガタイがよいです。 結婚前にエリザベスが「結婚相手がどんな人だか知ってるの?」と言って結局言わないのですがもしこの時言ってたらどうなってたのかなぁと。結局二人は別れるわけで、その理由がこの時エリザベスが危惧していたスノードン伯爵の同性愛&異性愛問題だったわけですから。 Wikipediaをぐぐったら何と世紀の不倫男って出てましたよ。 第8話親愛なるケネディ夫人[Dear Mrs. Kennedy] ジャッキー・ケネディ大統領夫人の発言に、女王としてのプライドを傷つけられたエリザベスは、ガーナとの外交問題に対して型破りな解決策を講じる。 そういえば同世代だったんだこの二人。ジャッキーが来るとあってフィリップ殿下まで浮足だつというのが庶民的でよいなぁ。大英帝国の国王の嫉妬心を利用してアフリカの共産主義化を抑えようなどとキャメロットの若き王の頭の冴えが際立つ。ケネディ夫妻の天国と地獄が一話で描かれる。ジャッキーが血の付いた着物のままなのは計算だと見抜いたエリザベスも炯眼。 第9話父として[Paterfamilias] スコットランドの母校に息子のチャールズを通わせるフィリップは、学校になじめないわが子の姿を見て、過去の忌まわしい記憶を思い起こしていた。 フィリップ王配の不幸な生い立ちが明かされる。姉二人はナチス、父は精神を病んだ母を捨て愛人と暮らし母親はずっと病院暮らしで成長した息子が分からない。いやよくこんな結婚通ったなと。自分も極限の精神状態の時に鍛えられたからとスパルタ式の学校に入れるが息子は刑務所と呼んで毛嫌いし、結局伝統のイートン校へ。それぞれ通ってきた修羅場が違うよな。 第10話謎の男[Mystery Man] 売春婦が絡む国家機密漏えい事件によって内閣は崩壊。身重のエリザベスは、フィリップと事件の関与を疑いながらも、静養のためロンドンを離れる。 あのプロヒューモ事件にフィリップ王配が関わっていたなんていくらドラマでも書いていいの?大胆だなぁ。映画「スキャンダル」でも描かれた事件です。アントン・レッサー演じるマクミラン首相も辞任。こうして3人の首相を見ているとやはり政治や国への執着が一番強かったのはチャーチルだった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
April 3, 2020 10:50:05 PM
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