2019/11/15(金)06:02
この国に まだジャーナリズムは存在するのか~映画「新聞記者」
みなさん、こんばんは。言論の自由は本当にこの国で保障されているのでしょうか?
映画新聞記者を見ました。
新聞記者
The Journalist
出演
シム・ウンギョン 松坂桃李 北村 有起哉 高橋 和也 田中 哲司 岡山 天音
本田 翼 西田 尚美
監督
藤井道人
原作
望月衣塑子
東都新聞の記者・吉岡は、大学新設計画にまつわる極秘情報の匿名FAXを受け取り、調査を始める。日本人の父と韓国人の母を持ち、アメリカで育った吉岡はある思いから日本の新聞社に在職していた。かたや内閣情報調査室官僚の杉原は、国民に尽くすという信念と、現実の任務の間で葛藤する。
「政府の肝いりで新設が決まった医療系大学には実はある秘密があった」という粗筋だけで、どの事件のことかわかる。最近の官邸の暗躍ぶりときたらあざとすぎて嫌になる。その他にも、本編で取り上げられている事案(セクハラを訴えた被害者への中傷、政府を告発した元次官に振ってわいたセクハラ疑惑)から、すぐモデルとなった事件がわかる。監督は新聞を読まない世代らしいが、最近はスマホでニュースを見ている若年層も多いそうだから、これらの報道について見たことがある視聴者もいるだろう。ただ、スマホでニュースを見ている人達を電車でチラ見すると、身を入れて読んでいる人を見たことがない。面白そうだと思わなければ、すぐに指を滑らせ、時たまLINE、そうでなければテレビ視聴かゲーム。昔と比べて、ニュースをじっくり考えたり読んだりする時間も人もいなくなった。
それをいいことに、都合のいい部分だけピックアップして情報を流すものだから、時間のない中で限られた情報を与えられることになる。ましてや、その情報が忖度というフィルターを経たものであったとしたら、国民の判断は全く根拠のないものになる。
ジャーナリズムには批判が含まれる。権力を監視する強い力を持っていたメディアは、インターネットの普及によってその力を失い、正確な情報を伝えることより人々を惹きつける情報を伝えることに傾いている。「かつては」という枕詞を使わずに何か良いことを述べたいが、これからの事を述べようとすると、生憎悪い方へ悪い方へと向かっていく予感しかない。権力者の大言壮語が独り歩きして、ヤジすらも公僕に止められるようでは、この先に待っているのは恐怖政治しかなく、誤った情報を伝えられたまま、間違った戦争に突入してしまったあの日の日本を想起する(知っているわけではないが)。私達が向かう先、ジャーナリズムはきちんと「これが正しい」と道を指し示せるのか。
新聞記者 [ シム・ウンギョン ]楽天ブックス