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2019/12/04(水)00:00

ザッカーバーグ公園やローランド・エメリッヒ大通りがあるクオリティランドに あなたもようこそ!~SF小説「クオリティランド」

海外のミステリー&ファンタジー小説(707)

みなさん、こんばんは。丸山議員が真子様にした質問が明らかになりました。 ほんっとにいらんことしいですね。 さて、今日はドイツのSFを紹介します。 クオリティランド Qualityland マルク=ウヴェ・クリング 河出書房新社 森内薫 (翻訳) 最近の電子機器は賢い。料理を置けば自動で温め時間を設定してくれるし、ガスをつければ「熱いお湯が出ます」と優しい女性の声で案内してくれる。カーナビしかり、電話しかり。もうとっくに人間よりもマシンの方が賢くなっている。  本編の舞台、近未来では更にマシンが賢くなっている。「自分が何を好んでいるか」「自分には何が合っているか(パートナーも含め)」を全てアルゴリズムによる判断でマシンが選び、配達までしてくれる。おや、そういえばAmazonでは今だって「あなたにお勧めの映画・TV番組」なんてものが、既に出て来るぞ。  なんて楽なんだ!と思いきや、なぜか町で上演されているのが『ヒトラー!ザ・ミュージカル』というミュージカルだったり、『ムッソリーニ。その愛』という映画が上演されていたり、何だかファシズム国家みたいだ。そして究極の選択として、国政のトップにアンドロイドが選ばれる。外見は『インデペンデンス・デイ』で主役を演じたビル・プルマン似のジョン・オブ・アスだ。選挙スローガンは「機械は過ちを犯さない」。あれ、そういえば映画『2001年宇宙の旅』のHALってどうだったっけ?  主人公の名前はペーター・ジョブレス(Jobless)。何だか変な苗字なのは、この時代、子供達は男親・女親の職業を苗字にするよう定められているからだ。一発でダメな奴とわかってしまうわけで、なかなかイタイ。彼が完全無欠のシステムに反旗を翻すことになったのは、実は“あるモノ”が送られてきたことだった。「こんなの俺は欲しくない!」と何度言っても「いいえ、あなたにはこれが必要なはず」と返品を受け付けてくれないシステム=世の中に業を煮やしたペーターは、欠陥ロボット達と遂に立ち上がる!  こう書くと実にかっこいい!まるで池井戸潤小説の主人公みたいだ。が、“あるモノ”がああいうモノだから「ぶわははは!」と笑ってしまう。ところが、もし“あるモノ”でなく銃が「これがあなたにピッタリ!」と送られてきたら?その前に、頼んでもいないもので危険人物視されて軍隊が送られてきたりして。おっと、一挙にホラーだ。近未来サスペンスってやつ?  質実剛健、真面目で勤勉なドイツから生まれた、様々なパロディや皮肉でくすぐりつつも、実はやっぱり真面目なテーマが潜んでいる近未来小説。 ​クオリティランド [ マルク=ウヴェ・クリング ]​​楽天ブックス​

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