2020/02/06(木)00:00
本当のわたしは どこにいる?~YA小説「わたしが私になる方法」
みなさん、こんばんは。大型クルーズ船の乗客にも新型肺炎患者が発生しましたね。
中国での死者がどんどん増えていますね。心配です。
さて、今日はYA小説を紹介します。
わたしが私になる方法 BOOK PLUS
How To Be A Real Person(in just one day)
サリー・ワーナー(著者)
金原瑞人&鈴木亜希子(訳)
デカルトの名言を思い出すまでもなく、わたしは私だ。ならばなぜわざわざ“なら”なければならないのか。誰のために。
物語は“わたし”ことカーラ・ビッグスが「あのときほど家族がひとつになって喜んだことはなかった」「すべてのことがうまくいっていた―(中略)完璧に近かったと言っていい」十歳の誕生日の回想から始まる。
本編にはちょくちょく回想が差し挟まれるが“完璧”が崩壊していったのは、どうやら去年のことらしい。それも原因はママ。犬を飼うと言い出したパパにキレたり、高い買い物をするママに、パパは刺激しないよう言葉を選びながら苦言を呈し、カーラはただ見守ることしかできなかった。そのうち苦言を言うパパは離れて暮らすようになり、文句を言わないカーラが残された。
この状態で母親と主人公を二人きりにできたものだ。仕事に逃げてしまえる父親を、ちょっとずるいな、とも感じた。まあ実質母親が働いてないので父親が稼ぐしかないのだが、それでも。
「幸せなときも悲しいときも、わたしのことなんかたいして考えていなかった」母親の事を刺激しまいと気を使い、学校や近所の人にも本当の事を言えないカーラを支えたのは、それでも母親への愛だった。本作にはいくつもリスト(How To Avoid Having a Family Conference等)が登場するが、総てカーラが日常をリアルに見せるためのルールだ。このルールとお気に入りの本に出てくるヒロインが、当たり前でない日常を生きるカーラの支えとなる。「わたしがなんとかできる」と心強い言葉で母を支えるヒロインの健気さに、ひと筋の光明を見る。
【中古】 わたしが私になる方法 BOOK PLUS/サリー・ワーナー(著者),金原瑞人(訳者),鈴木亜希子(訳者) 【中古】afbブックオフオンライン楽天市場店