映画・海外ドラマ・本　ひとこと言いた～い

みなさん、こんばんは。ドラマが次々と放送休止や再放送ばかりになって寂しいです。

今日はクロフツのデビュー作を紹介します。

樽
The Cask
F・W・クロフツ
創元推理文庫

　　パリからロンドンに送られたワインの樽を受け取りに行った海運業者の社員は、樽が壊れて中から金貨と人の手が出てきた事に驚く。事件はすぐさまロンドンのバーンリー警部に知らされ、受取人フェリックスは荷物は自分のものだと主張したにも関わらず、樽はなぜかいっとき行方不明に。樽から出てきた死体を見て倒れてしまったフェリックスか、それとも死体の近親者か、全くの第三者か。誰が、いつ、何のためにわざわざ樽に死体を入れたのか？

　元鉄道技師クロフツのデビュー作。最初は荷物の到着地であるロンドンのバーンリー警部、次に荷送地のパリを仕切るクリフォード、最後はフェリックスを助けるために雇われた私立探偵と探偵役が次々と変わる。一番制限されない私立探偵を最後の探偵役に持ってきているのは作者の意図あり。彼等は天才的なひらめきで事件を解決するのではなく、オーソドックスに捜査を進める。例えばこんな風に。

バーンリー警部は今の話しを、先にブロートンから聞いた話と併せ、いつものようにじっくりと検討した。一連の出来事をつぶさに振り返り、疑う余地のない事実と、語り手の意見にすぎないと思われるものとを選り分ける。
パリ警視総監
今どこまで進んでいるのか、わかっていることは何か、筋の通る仮説が立てられるか、やり残していることは何かを確認するのです。

　バーンリー警部がパリで誰と組みたいか、と言われて以前一緒に捜査をしたルファルジュを指名し、「荷物が着くまで時間があるからセーヌ川の船旅しない？」「フォリー・ベルジュール(有名なパリのナイトクラブ)に行かない？」など捜査の傍ら現地の料理を楽しんだりやや観光気分なのが面白い。そういえば、捜査の途中で酒飲みOKなのはコリン・デクスターのモース警部もやっていたっけ。

​
樽【電子書籍】[ F・W・クロフツ ]​​楽天Kobo電子書籍ストア​