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みなさん、こんばんは。
格闘技お好きですか？
今日ご紹介する映画にはタイの格闘技が登場します。

​映画暁に祈れを見ました。

暁に祈れ
A PRAYER BEFORE DAWN

出演
ジョー・コール　ヴィタヤ・パンスリンガム　ソムラック・カムシン

　タイでドラッグ中毒になってしまったイギリス人ボクサーのビリー・ムーア(ジョー・コール)は、警察の家宅捜索を受けて逮捕され、刑務所に収監される。汚職、殺人、レイプが公然と行われている劣悪な刑務所で、死の危険にさらされたビリーは、所内に設立されたムエタイチームの門をたたく。懸命にムエタイを習得することで、彼はこれまでの自堕落だった自分と決別し、生きる希望を見いだす。

　微笑みの国タイなので、刑務所でもちゃんと祈りを捧げる場面がある。しかし我々がよく知る刑務所らしい所はそこまで。実の所、更生施設としての役割は全く果たしていない。後は入ってしまったら、行き場のない囚人たちが何をしようとお構いなし。可愛い顔をしている男の子が早速性処理の標的になって翌日首を吊っていても事故で処理されるわ、強い者が牢名主としてリンチをするわ、看守がドラッグを密かに売りさばいてるわ、牢獄の中はやりたい放題。

　そんな中でなまっちろい体のビリーはいかにも目立つし、真っ先に女の子替りをやらされてもおかしくないが、彼には幸い拳があった。元ボクサーだった彼はムエタイを学ぶことで房を移り試合に出場し、一時の安らぎを得る。更生プログラムなどないのだから、本人の意思がよほど強くないと社会復帰どころか出所さえ難しかったはずだ。現地タイ人との試合に向けて体を絞りトレーニングを重ねることで、ビリーは塀の外の光に近づいてゆく。

　ロケ現場が元刑務所で囚人を演じている人は元囚人ととことんリアルに拘って作られた。さもあろう本職の俳優なら体全身タトゥーを入れるなんて、撮影の度にやっていたら時間がかかって仕方がない。あれは全て本物だそうだ。

　イギリス人ボクサー、ビリー・ムーアの自伝小説が原作。本人はビリーの父親役として出演。かつての自分を演じる俳優を格子の外から見守るなんてなかなか貴重な体験だったろう。「家族なんかいない」と言っていたビリーの家族としてはるばるタイに面会にやってきて、これからの彼の人生が良い方向に向かう予感を感じさせる。


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