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2021/02/04(木)01:25

ナチスの軍服がつくる 即席の私的制裁機関 衝撃の実話 映画『ちいさな独裁者』

ドイツ映画&ドイツドラマ(47)

みなさん、こんばんは。 白鵬はオリンピックで土俵入りしたいから引退しないそうですが、オリンピックの行方が危ういですね。 映画ちいさな独裁者を見ました。 ちいさな独裁者 DER HAUPTMANN 監督&脚本 ロベルト・シュヴェンケ    第二次世界大戦末期1945年4月のドイツ。第二次世界大戦末期の敗色濃厚なドイツでは兵士の軍規違反が相次いでいた。命からがら部隊を脱走したヘロルトは、道端に乗り捨てられた軍用車でナチス将校の軍服を偶然手に入れる。大尉になりすました彼は、ヒトラー総統からの命令と称して架空の任務をでっち上げ、出会った兵士たちを言葉巧みに服従させてゆく。リーダーとなって権力に酔いしれるヘロルトは傲慢な振る舞いをエスカレートさせ、その行動は脱走兵たちが収容されている施設での大量殺戮へと暴走する…。  ナチス・ドイツもかなり恣意的であった。極論を申せば、ユダヤ人に全ての罪をぶつけ収容所に入れる行為もそうだし、ジェノサイドもそうだ。だから彼等は戦争犯罪人とされた。しかし、そのナチスドイツの軍人でさえ、行動に眉をひそめた人間が実在した。それもわずか21歳の若者である。名だたるナチスの将校や幹部たちが、やすやすと嘘と仮初の軍服に騙され、収容所での即決裁判を許してしまう。一部の者には―というか、一般社会では―言語道断な行為が、毅然とした態度に見え、ヘロルトが従えた兵士の数は一時80人前後にのぼり、中心メンバーの12人は最後までヘロルトと行動を共にしたそうだ。制服の威力だけで従ったとは思えない。制服はきっかけに過ぎない。独裁者はたやすく作られる。ヘロルトに従った兵士たちは ハンナ・アーレントの唱える悪の陳腐さ―「悪とは、システムを無批判に受け入れることである」―を地で行ったのだ。  裁判でヘロルトは言う。「私の父はいつも"あなたが何か間違ったことをしたなら、少なくともそれを認めなさい"と言いました。My father always said "if you've done something wrong, then at least admit it."」しかし最大の過ちにはついぞ気づくことはなかった。彼に無条件で従った兵士たちも同じだ。  エンドクレジットはヘロルトたち私設巡回裁判メンバーが現代のドイツを車で巡回するシーン。現代の人々が次々と壁に頭を押し付けられ、物を奪われる。フィクションだとわかっていてもぞっとする。  ナチス将校の軍服を偶然手に入れた脱走兵が暴走してゆく姿を描いた衝撃の実話。 ​ちいさな独裁者【シュバルツヴァイス完全版】 [ マックス・フーバッヒャー ]​​楽天ブックス​

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