映画・海外ドラマ・本 ひとこと言いた~い

2021/04/28(水)00:00

池波氏の独特のリズムで語られる文章の魅力  時代小説「鬼平犯科帳〈6〉」

日本の作家が書いた歴史小説(159)

みなさん、こんばんは。国際水泳連盟がオリンピック最終予選3大会の中止決定しましたね。 オリンピック開けるの? 今日も池波正太郎作品を紹介します。 鬼平犯科帳〈6〉 池波正太郎 文春文庫 「つくづくとばかばかしく思うのだよ」なれど「このお役目が、おれの性にぴたりはまっている」のである。だから火盗改方の長官・長谷川平蔵は、疲れにもめげず今日もまた出動する。  文章を見ただけで、誰が書いたものかわかる場合が、たまにある。 池波氏は、数少ないその一人である。 「だが、おまさの胸さわぎは、しずまらない。 茶店のむすめと瓜二つとまではゆかぬにしても、そっくりな、別の女の 顔を、そこに見たからである。」 (「狐火」より) この文章を、国語で習った通り、 句読点で区切り、『まる』で長く間を取って読むと、 割合規則的なリズムを感じ取ることができる。 しかし、オリジナルでは、こうなっている。 「だが……。 おまさの胸さわぎは、しずまらない。 茶店のむすめと瓜二つ、とまではゆかぬにしても、 (そっくりな……) 別の女の顔を、そこに見たからである。」 「……」の挿入と、改行によって、前に挙げた 文章にはない、ある『間』ができる。 とんとん、とんとんとん の中に、 とんとん、とお……ん、とん。 というリズムが入り込み、文章に動きが生まれる。 また、台詞でも行動でも、みなまで言わない所があり、 その部分は読者側に放られる。 だから、読んでいる人は、書かれていない 部分を自分の想像で補いながら、この文章のテンポで、頭の中で 映像をまわしている。 多分、キャラクター設定は、時代小説がこれだけ登場すれば、似通った ものが出てくる。親分肌のボス、おっちょこちょいの部下、 年輩の頼れる部下、まじめ一徹の部下、主人公に思いを寄せる けなげな女性。でも、こんな個性的なリズムで動いている キャラクターはどこにもいない。 「礼金二百両」「猫じゃらしの女」「剣客」「狐火」「大川の隠居」「盗賊人相書」 「のっそり医者」の七篇収録。 ​【すぐに使えるクーポン有!2点で50円、5点で300円引き】決定版 鬼平犯科帳 (6) (文春文庫)/文藝春秋/正太郎, 池波 【中古】​​BUY王楽天市場店​

続きを読む

このブログでよく読まれている記事

もっと見る

総合記事ランキング

もっと見る