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2022/04/02(土)00:00

ウィル・トレントシリーズではウィルとくっついてるので前夫のことなんかいいじゃん!と言いたくなるグラント郡シリーズ「凍てついた痣」

海外のミステリー&ファンタジー小説(707)

みなさんこんばんは。センバツ高校野球大阪桐蔭が優勝しましたね。今日はカリン・スローターの人気シリーズの一つ、グラント郡シリーズの最新刊を紹介します。 凍てついた痣 A Faint Cold Fear ハーパーBOOKS  カリン・スローター カリン・スローターはウィル・トレントシリーズとグラント郡シリーズを並行して刊行している。前者からすれば後者は過去にあたり、ヒロインサラは新しいパートナーを得て幸せいっぱいなのに、グラント郡シリーズでは浮気が原因で別れた前夫ジェフリーとくっついたり離れたりを繰り返している。そのため未来を知る読者は若干欲求不満気味を感じるようだ。過去編を全て完結させてからウィル編の方が話の流れとしてはすんなり読めたと思うが、大人の事情か。  いざ事件が起こって弱い部分が刺激されると、サラが頼っていく先は彼の所だ。ましてや事件となれば検視官と保安官は顔をつきあわせる機会が多い。今回サラの妹テッサを事件現場に連れて行き、重症を負ったことで二人の仲は更に近づく。  一方で『ざわめく傷痕』が原因で警察を離れたレナは、過去を皆に知られている事だけでも神経を張り詰めて生きているのに、理解者ジェフリーとはぎくしゃくし、同僚はいけすかない奴で、最悪の職場環境だ。彼女にいくらか同情的なサラにはジェフリー絡みで反発し通しなので、差し伸べられている手を自ら拒否している彼女にも責任はあるのだが。ややこしい彼女を助けようとする大学生イーサンが現れるが、彼もまた訳ありの過去がある。カラダの関係から始まった二人は、果たして恋愛関係に発展するのか。  救いの手を差し伸べられても動こうとしない女性が本編にはもう一人登場する。女性に加えられる残酷な暴力がスローター作品の売りだが、邦題の“痣”が残るほど身体を傷つけられても加害者から逃げられない被害者もいる。共依存の関係が加害者を助長させ、第三者に明るみに出るまで暴挙は止まない。日本でも海外でも、女性が声をあげるのは難しそうだ。 ​凍てついた痣 (ハーパーBOOKS ハーパーBOOKS H166) [ カリン・スローター ]​​楽天ブックス​

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