2022/10/01(土)00:00
毎日=Everydayからいつか=Somedayに変わったのは 小説「サムデイ」
みなさん、こんばんは。Netflixが製作する映画『ビバリーヒルズ・コップ』の続編タイトルが『ビバリーヒルズ・コップ:アクセル・フォーリー(原題) / Beverly Hills Cop: Axel Foley』となり、エディ・マーフィが主演に復帰、さらにジョセフ・ゴードン=レヴィットが出演するそうです。
今日はデイヴィッド・レヴィサンの「エヴリデイ」続編を紹介します。
サムデイ
Someday
デイヴィッド・レヴィサン
小峰書店
前作エヴリデイでリアノンの前から姿を消したAは、相変わらず宿主を変えている。しかしリアノンという大切な存在が出来たことで、前よりも宿主の事を考え始める。たった一日しかその体に宿ることができないというのに、自分の感情で行動してしまってよいのか?と。
彼と逆の考え方をするのがXで、Aと対を成す名前になっており、意味を調べると、いかにも宿主を変えるボディ・トラベラー(本作で初めてこの言葉が登場)らしい。
宿主に対して罪の意識を感じ始めていたAに対してXは、彼が抑えてきたポイントをぐさぐさと突いてくる。
「これまで常に、自分のことより宿主のことを優先させてきた。自分を完全な一個の人間として扱ってこなかったんだ。(中略)われわれだってひとりの人間なのに。宿主の人間性を守るために、自分の人間性をあきらめてきたんだ。(中略)なぜ宿主の人生のほうがわれわれの人生よりも価値があるんだ?」
確かにXの言っている事にも一理ある。ボディ・トラベラーは自ら望んでその性質を持ったわけではないのに、社会の圧倒的多数がそれらの性質を持たないがために異端者、少数者となり自らの望みを抑えざるを得ない。だが、Xは巧みに「自分か他者か」という二者択一にすり替えているが、自分の人生を貫き通すならば宿主の人生を乗っ取ることになる。宿主もまたボディ・トラベラーと同様罪なき存在であるにも関わらず。初めて自分と同じ体験と記憶を共有するXと話す機会が増えてAの心は揺れるが。
リアノン、ネイサン=善、X=悪というわかりやすいキャラクター分けがされているが、出てきた答えはそう簡単ではない。前作タイトルは毎日宿主が変わる事からきていたが、本作タイトルはAとリアノンの願いがこめられている。
サムデイ [ デイヴィッド・レヴィサン ]楽天ブックス