2023/02/14(火)00:16
女王の妹マーガレット王女の女官として仕えた女性の回想録 ノンフィクション「 マーガレット王女とわたし:イギリス王室のおそばで歩んだ女官の人生」
みなさんこんばんは。ともさかりえさんが自身のインスタグラムを更新し、3度目の結婚をすることを発表しましたね。今日から2日間イギリスに関連した映画&書籍を紹介します。今日はエリザベス女王の妹に仕えた女性の伝記を紹介します。
マーガレット王女とわたし:イギリス王室のおそばで歩んだ女官の人生
Lady in Waiting:My Extraordinary Life in the Shadow if the Crown
アン・グレンコナー/著
立石光子/訳
白水社
人気ドラマ『ザ・クラウン』シーズン3&4でマーガレット王女を演じるのはヘレナ・ボナム・カーターだ。本書は、彼女がドラマの参考のために著者を訪ねてくる場面から始まる。
S2S4でマーガレット王女は結婚式の公式カメラマンとしてやってきたアンソニー・アームストロング=ジョーンズと出会い恋に落ちる。著者の結婚式の公式カメラマンがアンソニーだったと書かれているので、ドラマの結婚式は著者のだったのかもしれない。
著者はグレンコナー男爵夫人であり、第五代レスター伯爵の長女である。レスター伯爵といえば、初代レスター伯がエリザベス女王の寵臣ロバート・ダドリーが有名だが、必ずしも同じ一族が家系を繋いできたわけではない。断絶を繰り返しては新たなレスター伯が生まれてきた。第五代レスター伯爵(著者の父)には娘三人しか生まれなかったため、三代伯の次男の息子が六代伯となった。著者は、女系は財産も爵位も相続できないという、ドラマ『ダウントン・アビー』で描かれたメアリーと同じ立場だったわけだ。
王家の別邸サンドリンガム邸とはご近所だったため、曾祖母の代から王家の縁は深かった。その縁で子育てを終えた彼女に、王女の女官というオファーが舞い込む。女王の夫フィリップ王配や幼き現王、その后となったダイアナ妃、その父親スペンサー伯爵、レーガン大統領夫妻、イメルダ・マルコス、ミック・ジャガー夫妻など有名人が多く登場。写真もあり。かなり赤裸々な内容も含むので女王の死を待っての出版かと思われたが、二〇一九年に出版されている。
女王の戴冠式で六メートルの裳裾を持って付き従う大役を仰せつかった彼女が結婚した相手コリン・テナントは、後に第三代グレンコナー男爵となる。化学製品の製造で莫大な財産を築いた富豪一族の息子であり、その財産ときたら島まで買っちゃうほどだ。マーガレット王女のお相手もドラマでは控えめに描かれていたものの、お盛んな方。類は友を呼ぶというが、二十三歳で結婚した富豪の夫は、癇癪を起すとまるで子供のように駄々をこねたらしい。経験豊富ではない新妻をとんでもない場所に連れていった事が明かされているが、よくまあそれを著者も書く!昔の事だから何とも思ってないのか?
優等生の姉エリザベス女王に比べて、問題を起こしてばかりの妹というイメージが強いマーガレット王女だが、著者の見ている彼女は、奇行を繰り返す夫と暮らす幼馴染の著者を変わらず女官として雇い続けた情に厚い人になっている。彼女の離婚の真相も明かされており、これからザ・クラウンの後半部を見る人は、本書を見ると優秀な姉の陰に隠れがちだった妹の印象が変わるのでは。
[書籍のメール便同梱は2冊まで]/マーガレット王女とわたし イギリス王室のおそばで歩んだ女官の人生 / 原タイトル:Lady in Waiting[本/雑誌] / アン・グレンコナー/著 立石光子/訳ネオウィング 楽天市場店