2023/02/28(火)00:00
おモー様表紙絵ファンタジー完結! 伝染病登場で新型コロナを想起 小説「トレマリスの歌術師〈3〉第十の力」
みなさんこんばんは。今月値上げされる食品や飲料は5000品目を超えていることが、信用調査会社の調査でわかりました。今日も萩尾望都さんが表紙絵を担当したファンタジーを紹介します。
トレマリスの歌術師〈3〉第十の力
The Chanters of Tremaris The Tenth Power
ケイト・コンスタブル
ポプラ社
とてつもない力を発揮してメリツロス帝国の宮殿崩壊を止めたカルウィンだが、大きすぎる代償を払うことになってしまった。歌術を全て失ってしまったのだ。傷ついたヒロインが戻る所は懐かしき故郷、三つの月に司られる世界・トレマリス。ミカとトラウトを連れてアンタリスへ戻ったカルウィンは、変わり果てた故郷の姿を見る。氷壁に並べられた巫女たちの死体、歌術師だけがかかる雪病の蔓延。目を覚ました長老マーナは、「一の巫女の位を継ぐべきはカルウィンだ」と言い、息絶える直前に、女神の秘儀を伝える。カルウィンは、自分が歌術の才をなくしたことを言えないまま、マーナの話に耳を傾けた。「“環”を見つけよ、“環”が答えを握っている。だが秘密を解き明かすには“第十の力”が必要だ」「第十の力」の秘密とは?カルウィンは万歌の歌い手となり、悪の皇子・サミスを倒すことができるのだろうか?
第1巻で「万能感溢れるヒロイン」を登場させ、さあこれで成長譚&ラブラインの発展に行くのかと思いきや、第2巻で彼女を支えてきた力を奪ってしまう。思いだけではどうにもならない現実を知った上でのカルウィンの行き場のなさが、ダロウの手を退ける。
故郷アンタリスの病気=雪病は、いわゆる伝染病だ。サミスがやってきた後に蔓延したので、外界からの感染ということになると、何やら新型コレラを彷彿とさせる。その後の対応も新型コレラ蔓延初期に倣い、治療薬が見つからない中患者を寝かせておくだけで、必要以上の接触はしない。苦痛を和らげたい人には苦茨を渡す。閉塞した社会の中で、“かかった者が悪い”という風潮が広まり、声の大きい人の意見が通る。発表当初もちろん新型コロナは登場していなかったが、いつの時代も伝染病の扱いは似ていたのだろう。
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