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2023/04/03(月)00:00

“おばあちゃん”は みんなワケアリ 短編集「私のおばあちゃんへ」

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みなさんこんばんは。女優のラクエル・ウェルチさんが亡くなりましたね。今日も韓国文学を紹介します。 私のおばあちゃんへ (Woman’s Best 韓国女性文学シリーズ) 書肆侃侃房 ​『アリアドネーの庭園』ソン・ウォンピョン 近未来の韓国では、高齢者は、介護度のランクによって分けられたユニットで暮らしている。少子高齢化社会の解消のために、韓国では高齢者の世話をする福祉パートナーとして移民を積極的に採用していた。ミナは嘘の混じった昔話を喜んで聞いてくれるユリとアインの訪問を楽しみにしていたが、同じユニットのジユンは おまえたちのせいだ。おまえたちが何もかも奪ったから、あたしがこうなったんだ! と敵意を露わにする。ある日 おばあちゃんはいい人だからお話しておこうと思って と好意を持っているミナだけに打ち明けると、ユリとアインが話したこととは。  ミナのいるユニットDの名前が「アリアドネ―の庭園」である。アリアドネとは、生贄に混じってやってきたギリシャの英雄テセウスが迷宮から出られるように、糸玉を渡したクレタ王の王女である。彼女はテセウスに恋して彼を助け、迷宮は意味を成さなくなる。好意を持って受け入れた者によって迷宮が崩壊に向かうという展開が本作とリンクしている。日本でも介護人材を積極的に海外から受け入れている。単に“絶対あり得ない”と切り捨てられる内容ではない。 『黒糖キャンディー』ペク・スリン 弟のサンウから「以前フランスに住んでいた時アパートの一階に住んでたじいさんとばあちゃんがつきあってたよね?」と言われ、過去を思い出す私。祖母ナンシルは父に懇願され、母親のいない娘と息子の面倒を見るためにわざわざフランスまでついてきたが、フランス語を取得して友達を作っていく孫たちに比べて、言葉もできず孤独だった。そんな祖母と親しくなったのが、弟の話に出て来たフランス人男性だった。もう確かめることのできない、祖母の淡い恋の物語。きっかけがピアノというのがいかにもおフランスでおしゃれだし、私の夢の中でだけ、素直な思いを口にできる可愛い祖母がたまらん。 『偉大なる遺産』ソン・ボミ 韓ドラのタイトルみたいだ。祖父の死後、多くの遺産を受け継いだ祖母は、しばらくの間私と暮らしていた。処分するため、久しぶりに屋敷を訪れた私は、祖母の世話をしていた家政婦のおばさんと再会。ところがおばさんの行動が何だかおかしくて。権高な女主人に従順に従っていた家政婦が、ふつふつと抱えていた暗い存念が明かされる様がスリリング。 自分より親友に優しく振る舞う祖母が不満でならなかった私がその真意を知る『サンベッド』(カン・ファギル)祖母・母・孫の娘三代のテンプルステイの顛末を描いた『十一月旅行』(チェ・ウンミ)祖母となった女性のささやかな夢を描く『きのう見た夢』(ユン・ソンヒ)収録。 私のおばあちゃんへ [ ユン・ソンヒ ]​​楽天ブックス​

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