映画・海外ドラマ・本 ひとこと言いた~い

2023/07/15(土)00:00

シェトランドシリーズ第二弾 つきあい始めのペレスとフランが初々しい ミステリ「白夜に惑う夏」

海外のミステリー&ファンタジー小説(723)

みなさんこんばんは。「血と暴力の国」や「ザ・ロード」を執筆し、ピュリツァー賞も受賞した米小説家コーマック・マッカーシー氏が西部ニューメキシコ州サンタフェの自宅で亡くなりました。今日から3日間アン・クリーヴス作品を紹介します。 白夜に惑う夏 White Nights アン・クリーヴス 創元推理文庫 シェトランド島に夏がやってきた。観光客の一団が押し寄せ、人びとを浮き足立たせる白夜の季節が。前作『大鴉の啼く冬』で知りあった画家のフラン・ハンターと地元警察のペレス警部は、フランが有名画家のベラ・シンクレアと開いた絵画展初日の夜、絵を前にして泣くひとりの男と出会う。ペレス警部に、自分は記憶喪失らしいと打ち明けた男は、その翌日、近くの桟橋にある漁師小屋で、首吊り死体となって発見された。なぜか、道化師の仮面を顔にかぶった姿で。身元不明の男を、だれがなぜ殺したのか。  新シリーズは開発という名のもとに外から島に入って来る人とのせめぎ合いがメインテーマだったが、旧シリーズはクローズド・サークルミステリー。今回も、事件の起きた小集落ビディスタの、少人数ゆえの緊密な人間関係が肝であり、昔からよく知っていると思っていた人達の秘密が次々に明かされる。  付き合い始めたばかりのペレスとフランがなんとも初々しい。「泊まっていったら車が誰かに見られるんじゃないか」とか「キャシーはどう思ってるんだろう」とかめちゃくちゃいろんな所に気を遣いまくりつつも、嬉しさを隠し切れない様子が窺える(君ら少年少女か)。何だか隣近所の恋愛をのぞき見しているようで、こっぱずかしい。また、新シリーズラストを読んでいる方は、「この時は“キャシーもいてこそいい関係が保たれる”みたいな事を言っていたのに!」とペレスの心変わりにプチおこモードにならぬようご用心。  肝心の事件については、検死の結果、他殺と判定された男の正体と加害者を突き止めるため、ペレス警部はイギリス本土から再度島を訪れたテイラー主任警部とともに、捜査にあたる。都会派テイラーが、ペレスの何とものんびりした島民への尋問にイライラする場面が度々出てきて笑える。性格の異なるバディが事件を解決するのは王道だが、第一作当初は二人のバディも考えていたんだろうか。 ​白夜に惑う夏 (創元推理文庫) [ アン・クリーヴス ]​​楽天ブックス​

続きを読む

このブログでよく読まれている記事

もっと見る

総合記事ランキング

もっと見る