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2023/09/01(金)00:00

「ちょっとメッカに巡礼に行ってくる」がなぜか29年間の長期旅行に? ノンフィクション「 三大陸周遊記 (世界探検全集 02)」

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みなさんこんばんは。ロシア政府は、ロシア北西部で墜落した自家用ジェット機に搭乗していた乗客の中に民間軍事会社ワグネルの代表と同じ「エフゲニー・プリゴジン」という名前が含まれていることを明らかにし、プリゴジン氏が死亡した可能性が伝えられています。今日も河出書房新社から出ている世界探検全集から紹介します。 三大陸周遊記 (世界探検全集 02)​ イブン・バットゥータ 前嶋信次(訳者) 河出書房新社 マルコ・ポーロより50年遅れて生まれたイブン・バットゥータは、イスラム教徒である。22歳の時、聖地メッカの巡礼を行った後、予言者の墓参りをする旅を思い立つ。22歳と言えば大人なので、「正業は?先立つ物はちゃんとあるのか?」と不安になるが、イスラム教徒の旅は、お遍路と似ている。メッカ巡礼が奨励されており、旅の途中で必ず助けてくれる人が現れる。リアル聖地巡礼は至れり尽くせりで素晴らしい。イスラム世界無双である。  条件が良いとはいうものの、それなりに世間の波にもまれているならともかく、22歳にしてまったく初めての一人旅に出すとは、本人も家族も度胸がある。悪い人に出会ったらどうするつもりなのかと心配するが、当人は46歳になって、やっと故郷が恋しくなって戻ったというから、旅が楽しくて仕方がなかったのだろう。マルコ・ポーロの東方見聞録のように、出鱈目描写は散見されないが、王族すらひれ伏す優れた宗教指導者の記述が多い。イスラム教信奉者なので、異教たるユダヤ人については「去れ!」と怒鳴りつける描写も。  驚いたのは旅の割合早い時期に、チュニスの某同業組合の娘と結婚していることだ。お互いの身上調査とか無し?スピード婚もいいところだ。親の許可とか、一応成人だから要らない?ところで、この結婚は、間もなく義父との間に意見の相違があって妻を離別。意見相違というが、あなたたち、もともとそんな深い話してなかったんだろ。その後学者の娘と再婚している。ちなみに彼はこの後“も”結婚する。30年の間に何度妻帯したかわからない。一人旅で寂しくないのか?という心配は無用のようだ。王族に奴隷女性を“貰った”という記述もあり、長旅でも性生活は満足できたようだ。全然武闘派には見えないのに殺されそうになったり、織田信長ばりの暴君に出会ったりといろいろありつつ「戻ってくるまでが旅」の基本を踏襲できたのは良い。 【中古】 三大陸周遊記 世界探検全集02/イブン・バットゥータ(著者),前嶋信次(訳者) 【中古】afb​​ブックオフオンライン楽天市場店​

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