2024/07/09(火)00:00
みんなエルサレムが好きすぎる 「よくわかる一神教 ユダヤ教、キリスト教、イスラム教から世界史をみる」
皆さんこんばんは。東京都知事は小池知事が三選を果たしましたね。今日は佐藤賢一さんが宗教について書いた本を紹介します。
よくわかる一神教 ユダヤ教、キリスト教、イスラム教から世界史をみる
集英社文庫
佐藤 賢一
昔子供向けの旧約聖書と新約聖書を読んだ。新約聖書はイエスという一人の人間の一代記のようなものだったが、旧約聖書は妻に懸想して夫を戦地に追いやって殺してしまうという、おおよそ聖人とはいえないエピソードや、燃えている車に乗って預言者が天に昇るような、ありえないだろう!というエピソードもあった。とにかく火種のない所で火が燃えていると、そこに神がいるのだ。そして、決して火傷しない。寒い冬にいてくれると有難い、などというと罰当たりだろうか。
その後大学でキリスト教概論を勉強したが、確か使徒の書簡の内容がメインで、隅々まで学ぶ時間は取れなかった。概論なので、さわりで良かったのか。
このように深く深く研究したわけではないが、おぼろに宗教の根本は愛と寛容だと思っている。しかし本書を読む限り、真逆である。皆自分の宗教・神への愛は半端ないのに、他の宗教を認めない。そして皆エルサレムが特別な土地であり、共有するどころか奪い合う。世にいう十字軍はイスラムに奪われた聖地奪還の戦いである。
我々は“ジハード”と聞くと聖戦を想起する。そのように新聞でも報じられてきたからだが、実際は単に頑張ることらしい。中国語の加油である。それなのに、なぜ宗教上の敵を倒す戦いという意味に転じてしまったのか。究極は自爆テロである。とんでもない。
そこへいくと日本は明治時代になるまでは神教と仏教が喧嘩せずに共存していて、神様も寛容であった。国生みの神がいて、序列はそれなりにあるようだが、悪いことをしない限りは排除されはしなかったはずだ。一神教の国にならずに、本当に良かった。
それぞれの宗教の成立から発展の過程が、近くはウクライナとロシアの戦いにいたる歴史の流れと共に書かれている。
よくわかる一神教 ユダヤ教、キリスト教、イスラム教から世界史をみる (集英社文庫(日本)) [ 佐藤 賢一 ]楽天ブックス