2024/10/04(金)00:00
ミャーミャーと鳴く猫ばかりではありません 小説「牝猫」
みなさんこんばんは。セブン―イレブン・ジャパンは物価高で節約志向を強める消費者を取り込むため、低価格帯の品ぞろえを拡充すると発表しました。今日もコレット作品を紹介します。
牝猫
La Chatte
シドニー=ガブリエル・コレット
岩波文庫
アランはカミーユと婚約し、結婚。カミーユの友人のマンションに住む。しかしアランの飼い猫サアは、みるみるうちに痩せてしまい、みかねてアランはマンションに連れてくる。そして猫、カミーユ、アランの三角関係が始まった。
解説にも“三角関係”と書いてあるが、まず、猫と人間の男女2人の三角関係と聞くと、ホラーものの印象が強い。つまり猫と人間には圧倒的な体格の差があり、まともに戦ったら、猫は人間の敵ではない。また、人間の男性が性的に女性に求めるものを猫に求めても、絶対に無理なのに、それでも猫を選ぶとは考え辛い。にもかかわらず猫が勝るならば、猫が怪かしの力でも用いていると考えるほかあるまい。
猫と妻の戦いというよりは、アランがどんな生活を望んでいたかによる。顔合わせの時から、両家の不穏はに見えていた。アランが働いている描写がほとんどなかったので、いわゆる高等遊民かと思いきや、家は広いものの、そう裕福ではないことが窺える。どちらかというとカミーユの実家が裕福で、彼等は―というより両親は―アランの人柄ではなく家柄を買って商売に利用したかったようだ。とすれば、実家の富を傘に着る言動がカミーユに実際にあったかもしれず、なかったとしてもアランにはそのように映ったとも考えられる。つまり、猫は目に見える傷を作ったり事件の被害者となったが、猫そのものが夫婦の破綻の原因ではなかったのだ。とはいえ、猫が雄だったら、カミーユの妄想は起こらなかったかもしれない。
ちなみに高貴な生まれの猫は鳴き方も違うらしい。こんな鳴き方の翻訳初めて見た。
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