はじめてのけいかん~バットマンのいないゴッサムでとにかく前に進みましょう~ミステリ『ゴッサムの神々<上下> (ニューヨーク最初の警官) (創元推理文庫)』
みなさん、こんばんは。あの大都会NYにも沢山の初めてがありました。こちらは最初の警官達が登場したころのNYが舞台です。ゴッサムの神々(上下) ニューヨーク最初の警官 The Gods of Gotham創元推理文庫リンジー・フェイ(著者),野口百合子(訳者)バーテンダーのティムは、資金も貯まり、幼馴染みの牧師の娘マ―シ―に結婚を申し込もうとしていた矢先に火事で顔に火傷を負い、一文無しになった。仕事を辞めざるを得なくなり、兄ヴァルの斡旋で創設間もないNY市警察の警官になったティムの前に、血まみれの少女が現れる。「彼、切り刻まれちゃう」と口走った彼女の言葉どおり、胴体を十字に切り裂かれた少年の死体が発見される。 今でこそテレビドラマの定番アイテムになっている警察ものだが、ティムが就任した当時―1845年―は、腕に覚えのある若者が、ろくに訓練も受けずに役に就かされたといういい加減なものだった。現実と理想の乖離は他にもあり、ジャガイモ飢饉で困窮したアイルランド移民は次から次へと理想を求めてアメリカにやって来るのに、当の新天地では貧富の差が拡大し、最も弱い立場の児童が過酷な労働を強いられているという実態がある。移民を諸悪の根源と看做して排除に向かう動きは、現代アメリカにも通じてうすら寒い。 さて、ティムの一人称語りになる本書は、上巻でティムが警察官という職業を受け入れるまでの葛藤に多く頁が割かれ、下巻で事件が動き出す構成になっている。心理描写が多く冗長という意見もあるが、一人称語りを選んだのはむしろ彼の葛藤を描くためだろう。 消防士で警察の分署長で党の運営にも積極的な兄ヴァルは、一見できた大人に見えるが、薬に溺れて性別構わず関係を持つような破滅的な人生を送っている。著者はシャーロッキアンらしいが、ホームズとマイクロフトとは一味違う、緊張を孕んだ兄弟関係は、三部作の間でもう少し進展を見るのだろう。そんな兄弟の間に介在するのが、兄に執着し、正義感まるだしの弟には軽くあしらいつつも警戒する娼館の主人マーシュ。絶対悪として君臨するのかと思いきや、愛情を断ち切れない弱さも見せて、これからどう化けるのか興味が尽きない。人がラフな姿を見せる酒場でじっくり人間観察を行ったティムの警察官としての能力と、彼の人間的成長を描くシリーズになると思われる。【中古】 ゴッサムの神々(上) ニューヨーク最初の警官 創元推理文庫/リンジー・フェイ(著者),野口百合子(訳者) 【中古】afb【中古】 ゴッサムの神々(下) ニューヨーク最初の警官 創元推理文庫/リンジー・フェイ(著者),野口百合子(訳者) 【中古】afbブックオフオンライン楽天市場店新米 28年産 新潟コシヒカリ 5kg 玄米 送料無料 【産地直送】 新潟玄米 ほぼ 無農薬 こしひかり