June 2, 2020

弁護士は事務所で夢想し 悪魔的な男が巴里に現れる~ミステリ「四つの凶器」

みなさん、こんばんは。株価がおちついてきましたね。
さて、今日はアンリ・バンコランシリーズの新訳を紹介します。

四つの凶器
The four false weapons
ジョン・ディクスン・カー
創元推理文庫

「もしも五月十五日の昼下がりの彼が、誰かにこう言われようものなら―わずか一日後の君はパリにいて、傍観者ながら「四つの凶器」事件と後世をかなり騒がす殺人事件に関わりを持つんだよ(p9)」「泥沼なら抜け出せますよ、ミス・トラ―、私が一肌脱げば(p79)」「どの鏡に映し出しても正しい姿ではない。どんなさりげない行動も最後の最後でかけ違う。私好みの展開です。(p110)」「犯人ならわかっていますよ。証明もできます。だからこそ袋小路で行き詰まっているのです。(p136)」「犯人を知ったのは私の手柄ではありません。ささいなきっかけが一つ二つあって、それに導かれたまでです。裏づけを探したら、ありました。(p137)」
「もしも五月十五日の昼下がりの彼が、誰かにこう言われようものなら―わずか一日後の君はパリにいて、傍観者ながら「四つの凶器」事件と後世をかなり騒がす殺人事件に関わりを持つんだよ」とこんなに優しく作者から語り掛けられていると言うのに、当の本人―父の後を継いでロンドンの有名事務所で働く弁護士リチャード・カーティス―は、その日も夢想の真っ最中。
「ある任務を引き受けてもらうぞ。手短に説明しないといかん、ここは見張られているんだ。さ、ここにパスポート三通とピストルがある。ただちにカイロへ発て。」
「さる美人とここで落ち合う―美人なのは言うだけ野暮だな?」
仕事しろよ。

 そんな時事務所のボスから、結婚が迫り過去の女性関係を整理したい有力顧客ラルフ・ダグラスの案件が持ち込まれる。元愛人とのトラブルを解決するためパリに行き、引退したアンリ・バンコランから愛人の情報をできるだけ引き出すよう言われるリチャードだったが、ラルフと愛人宅に出向くと彼女は殺されており、何と凶器が4つも!そしてメイドは彼女が殺される前夜にラルフが来たと言う。ラルフの婚約者マグダ・トラ―も現れて泥沼だ!と騒いでいると、ハチよけの臭いパイプをふかしたバンコランが現れる。
「泥沼なら抜け出せますよ、ミス・トラ―、私が一肌脱げば」
ほぅら、カッコいい。誰です「脱いでほしい!」とか言ってるのは。
 
 だが彼の最大の難点は、思わせぶりな事を散々言いながら犯人を明かさないことだ。
「どの鏡に映し出しても正しい姿ではない。どんなさりげない行動も最後の最後でかけ違う。私好みの展開です。」「犯人ならわかっていますよ。証明もできます。だからこそ袋小路で行き詰まっているのです。」「犯人を知ったのは私の手柄ではありません。ささいなきっかけが一つ二つあって、それに導かれたまでです。裏づけを探したら、ありました。」
いやもう焦らす焦らす。しかしこの焦らしに耐えられた者だけが、あっと驚く?犯人にたどり着けるのだ。


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最終更新日  June 2, 2020 12:00:17 AM
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