川の人

　　
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　　　　渓で見かけたその人は、うっかりするとその存在に気がつかないほど

　　　　まわりの景色に溶け込んでいた。

　　　　着ている服のせい？それもある。でもそれだけではない。

　　　　鳥が空を飛ぶように、魚が川を泳ぐように、同じほど自然に

　　　　その人は、そこにいることが似合っていた。

　　　　唇をきゅっと結び、少し前かがみの姿勢で川の方を一心に見つめている。
　
　　　　一瞬、緊張がほどけたすきに声をかけてみた。その人は笑って答えて

　　　　くれた。

　　　　　　　きっと今日もどこかの川で魚と戯れていることでしょう・・・

　　　　　（2002.9.19）

　　　　　

　　　　　