秋風の吹く日に「レンドリアの、ばかーーっ!!」秋風が吹く、穏やかな昼下がり。 ジャスティーンはとても・・・怒っていた。 ―秋風の吹く日に― 「レンドリアのばかレンドリアのばかレンドリアのばかーっ!!」 広いお城の庭も、広い。 リーヴェルレーヴ城の庭園も、例の通り広かった。 その庭園を、明らかに怒った顔をして歩いている少女の名は、ジャスティーン。 魔力を持たないながらも炎の指輪であるレヴィローズの主だ。 ・・・ちなみに、今回ジャスティーンが怒っている理由は、レヴィローズの指輪であるレンドリア。 彼が一体何をしたかというと・・・。 「レンドリアってば・・どうしてこう、考えなしなの!?草むしりを頼んだら、「我ながら完璧だぜ!」とか言って・・・どう完璧なのかと思ったら、雑草を根こそぎ燃やしてるんだから」 その上、巻き添いになって野菜まで燃えてしまっていたのだ。 それを見た瞬間、ジャスティーンの怒号が飛んだ。 「・・・っレンドリアの、ばかーっ!!」 そして、現在に至る。 ☆ 「はぁ~・・・」 その頃、レンドリアはとても落ち込んでいた。 彼の性格からして、落ち込むという事はまずないのだが・・・今日ばかりは、落ち込んでいた。 「草だけ燃やすつもりだったのに・・・あれが野菜だなんて、誰も思わねーよ・・・」 それでも、悪いものは悪い。 悪いことをしたら・・・謝る? でも、今のジャスティーンはとてつもなく怒っている。無闇に近付くと逆鱗に触れそうだ。 じゃあ、どうすれば・・・? 「・・・ん?」 その時。レンドリアは鼻を掠めた匂いに、とっさに反応した。 匂いのままに後ろを振り返ると・・・。 「これだっ!」 レンドリアは、嬉しそうにそれを手に取った。 ☆ 「レンドリアのばかーっ!・・・はぁ、何か疲れちゃった・・・」 叫び続けるというのは、意外と疲れるものだ。と、ジャスティーンは改めて思った。 「・・・少しは気が晴れたし、疲れたし、お腹空いてきたし・・・もうそろそろ、帰ってもいいかな」 そう言って、お城に向かって歩き出したジャスティーンの前に。 「ジャスティーン」 「きゃあぁーーっ!!」 目の前に突然レンドリアが現れて、ジャスティーンは驚きのあまりへたり込んだ。 「レンドリアっ・・・あんた、そこまで私の事が嫌いなの!?どこまで迷惑かけたら気が・・・」 「ジャスティーン、これやるよ」 ジャスティーンが全て言い終わる前に、目の前に何かが差し出された。 それは・・・ 「これって・・・」 「焼き芋、って言うんだったよな?ジャスティーン、嫌いか?」 「嫌いじゃ、ないけど・・・」 突然、どうして焼き芋? 疑問を口にする前に、レンドリアが口を開いた。 「焼き芋、まだまだあるし・・・だから、ジャスティーン・・・その、・・・まだ、怒ってるか?」 彼にしては珍しい、不安げな表情で見つめられたジャスティーンは合点がいった。 そっか、レンドリアはさっきのお詫びにって、これを・・・。 「・・・ううん。怒ってないわ」 何だか嬉しくなって、ふっと表情を柔らかくすると、レンドリアもほっとしたように笑った。 ☆ 「そういえば、何で焼き芋なの?」 ジャスティーンは、焼き芋を片手にレンドリアに訊ねた。 ・・・すると。 「あー・・燃やした野菜の方から、いい匂いがしてきてさ。何だ?って思って見てみたら、上手い具合に焼き芋が焼けてたんだ」 「ふぅん?」 「で、焼き芋見てたらジャスティーンの顔が思い浮かんだんだ。何て言うか、顔がそっくりで・・・って、え!?」 「・・・ふーん。そんな事考えてたのねー・・・全っ然、反省してないじゃない!!」 うっかり口を滑らせたレンドリアがジャスティーンの鉄拳をくらったのは、言うまでもありません・・・。 + * + * + * + * + * + * + * + * + * + * + * + * + * + Fairy Taleの管理人様、有果さまから、相リン記念にこれを、と頂きました。 レヴィローズの指輪のこんなに素敵な小説が貰えるなんて、細木和子も予言してなかったことでしょう。(笑 あぁ、何かお返しをしなくては行けませんかねー・・。 当然でしょう!という責任感が強いジャスティーンの声が聞こえるようです・・・。 でもとにかく、こんなに素敵な小説をありがとうございました。 ヤミはとても幸せ者です・・・・・。 up05.10.17 ジャンル別一覧
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