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カテゴリ:小説/物語
お茶の用意ができて、ヤンキー女も少しは見られる顔になって、4人は1つのテーブルを囲んだ。
まーちゃんは元気に今日の出来事を母親に話した。 ただ、動物園で泣いた、、、いや、私に泣かされたことには触れなかった。 そうなのだ。 かつての私と同じではないか。 心配をかけまいと、寂しく感じたことや泣いたことなんか口にしないのが母親を想う幼い子供心なのだ。 そして、 「お母ちゃんのお弁当も美味しかってな!全部ちゃんと食べたんやで。」といって彼は幼稚園のカバンから弁当箱を出して、米粒一つ残っていない状態であることをヤンキー女に見せた。 すると、 ヤンキー女は声をあげて泣き出した。 そらそうやろう! おそらく先輩のお母さんに言われて、キレながら、嫌々、半分ヤケクソで、自分で作りもしない出来合いの弁当の中身を文字通り投げ込んだ、、、そんな弁当をこの子は「美味しかった」「全部食べた」と喜んでいるのだ。 自分のしたこと、いや、してきたことがどんなことなのかがこのバカな女にも分かったのだろう。 泣いたらええんや。 死ぬほど泣いたらええんや。 それでこの幼い我が子に心から詫びろ! この幼い子を育てる途中でこの世を去ったお前の母親にも命がけで詫びろ! そう思った。 そしてお茶を飲み干した私は帰ることにした。 ここからは3人で話をするべきで、私はもう無用の長物である。 私が玄関で靴を履いていると、先輩のお母さんが見送りに来てくれた。 そこで私は朝いただいた封筒を返して「ありがとうございました。これ残ったお金です。」と言った。 お母さんは「とっとき!」と言ってくれたが私は「それはできません。」と断って「実はこのお金はまーちゃんのお母さんから預かったとウソをついてしまってるんです。まーちゃんにはそれで通してもらえませんか?」とお願いした。 すると先輩のお母さんは「ってことは、あのジャンパーもあの子の母親が買うたってことやな。ええこっちゃ。またあの子(ヤンキー女)がしっかり働き出したらうちがしっかり取り立てるわ。」と言って満面の笑みをみせた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018.02.01 01:29:51
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