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ほよほよ部屋

ほよほよ部屋

春から夏に変わる頃

プ~~~ン~~。

蚊だ。 くっそーっ!絶対つぶしてやる!!

くーーーっ パチン!!  やった! 

ふんっ 私に見つけられて生きていられると思うなよー。


・・・そこで、ふと思った。
私はヒジョーに運動神経がニブイ。特に球技はサイアクだ。

テニスをした時、いつも「よくタマを見てー」と言われた。
見てるんだけど・・・当たらない。

なのに。蚊ならものすごいカクリツでたたきつぶす。

なんでやろ???

・・・きっとよく見てるんやろ。蚊を。
あの足をたら~んとたらしながら飛ぶニクイアイツを。

そうか。ニクシミが私を集中させているのか。



私が蚊を憎むようになったのは、結構最近だ。

結稀は2・3歳の頃よく蚊にさされていた。
夕方の公園で遊ぶと、結稀だけが、それこそボコボコにさされ、
またそのさされた跡が1週間は、はれたままになる。

蚊の多い実家で暮らしていた夏はサイアクだった。

夜寝るために灯りを消し、しばらくすると。
必ず!必ずプ~ン・・・と蚊の羽音がする。
こいつがいる限りうっとうしくて寝られない。
そして私をささず、結稀だけから血を吸うのだ。



灯りをつけ、目をこらし、寝ている結稀の体の周りをなめるように、見る。
10分程経つと、耐え切れず蚊が結稀の体に戻って来る。

・・・そこを、パチン!!とたたきつぶす。
必ず赤い血が出る。結稀の血だ。

注意する範囲が狭いから、百発百中だ。

私は仕事をやり遂げたなんとも言い難い満足感と、安らかに眠れる幸せに包まれて灯りを消す。

・・・あぁ・・・。この夏に、このワザを身につけたんやなぁ。



!!! もしかしたら、今、テニスをすれば、ものすごく上達するかも知れない。

・・・テニスのボールを憎むことが、できさえすれば。




2001.5.25


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