The Life Style in The New Millennium

2015/08/11(火)11:39

二兎を追うものは、ニ兎を得る?

ショートストーリー(1475)

二兎を追うものは、ニ兎を得る? 「あのオジサン、いつも英語のテキスト読んでる」 「リストラされないように頑張ってるだけさ。 うちのオヤジと同年代だな。ああは、なりたくないね」 理絵は、同じ予備校で交際中の徹也と 毎朝、同じ電車で通っている。 理絵は、いつも同じ電車に乗っているオジサンが 気になってしかたがない。 あんなオジサンでも、必死に勉強してるのに… 私、こんなに楽しくいいのかな… 理絵は悩んでいた。 徹也とのことだ。 受験の日が迫って来ると、 「恋愛をしてたから、また志望校に落ちた」 と言われる恐怖の悪夢が 毎晩のように襲ってくるのだった。 恋愛を取るべきか… 志望校合格を取るべきか… 理絵が、恐怖の夢ことをうち明けると、 徹也は、 「俺は、志望校より理絵を取る」 と真顔で言うのだ。 理絵は、徹也の気持ちは、うれしいけど、 ますます困ってしまった。 理絵は、今のところ模試の成績も順調だし、 何としても今年は志望校に合格したいのだ。 かと言って、徹也もいいヤツだ。 ああ…どうしよう… こうなったら、苦しいときの神頼みだ。 「神様、何か、いい方法ありませんか?」 そう手を合わせて、理絵は眠った… 「君なら、恋愛も受験勉強も両立できるよ。 大丈夫、ワシが保証しよう。 二兎を追うものは、ニ兎を得る、 これは21世紀のことわざじゃ」 夢の中に出てきた神様が、そう言った。 あれ…神様、朝のオジサン、そっくりだ… …久しぶりに、いい夢を見て、 元気になった理絵は、いつものように 電車に乗った。 隣の駅から徹也も乗ってきた。 そして、二人のすぐ横で、 いつものオジサンが いつものようにテキストに 目を通していた。 珍しく顔を上げたオジサンと 理絵は目が合った。 オジサンは、なぜか、ニッコリ微笑んだ。

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