The Life Style in The New Millennium

2015/08/11(火)11:35

60年前、東北の山村から異国に旅だった少女がいました。

ショートストーリー(1475)

真っ赤な太陽 60年前、東北の山村から グアムに旅だった少女がいました。 栄子は中学を出てすぐに 二つの人生を選ばねば なりませんでした。 一つは、国内で身を売るか。 もう一つは、グアムへ移民として 旅立つか。 どちらも、貧乏な家族が食べる為でした。 栄子は、グアムに旅立つことを 選びました。 しかし、その地は、未開の村でした。 来る日も来る日も重労働の日々。 夜、粗末な寝屋に入って 思うは故郷の山々。 そして、とうちゃんに、かあちゃんに、 兄弟姉妹たち、幼なじみ… 涙の止まらない日々が続きました。 明け方まで泣き明かしたある日、 ふと、寝床を抜け出し、 外に出ると、 大地の向こうに 真っ赤な太陽が昇るところでした。 「世の中に、こんなに 美しいものがあるなんて」 朝早く起きて、 昇る太陽を見ることが 栄子の生き甲斐になりました。 あれから、60年、 栄子は、この地を 訪れる日本人観光客のガイドを しています。 とうに定年になっても 不思議ではありません。 でも、 ユーモラスな東北弁のガイドで、 やけに明るい栄子は大人気で、 今も毎日仕事が舞い込みます。 娘一人息子二人 孫8人 ブランド品を買い漁るのが 趣味の道楽バアさんが 60年後の少女の姿です。

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