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Hug育(はぐはぐ) 育児は育自

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●フィリピン旅行記3

フィリピン入りしてから連日の早朝ミサ参列、日中のハードスケジュール、
そして就寝時間の遅いことが重なって、一行はいささかバテ気味となっている。

きょうは12月24日、クリスマスイブだ。
この日の早朝ミサには、あいにくと時間の都合で参列できなかったのは少し残念だが、まあ仕方ない。

現地入りしてこれまで4泊してきたアンバサドールホテルを引き払い、
高速道路をバスでダグーパへ向かった。

途中、第2次世界大戦中、西条市出身の関中佐の神風特攻隊が最初に飛び立った飛行場や
カパス平和記念碑、デスマーチ(死の行進)の犠牲者を悼んで建てられた碑を見たときには気持ちが沈んだ。
その碑に彫り込まれている日本兵の顔はまさしく「鬼」そのものだった。
こんな顔を、ここを訪れる多くの外国の人たちの目に触れされることは耐え難いことだ。
みんなで彫りなおしてしまいたかった。
「ああ、かつて日本軍はこんな顔をして戦争をしてきたんだな」と悲しくなってくる。

それから2時間ほど走ると海が見えてきた。
そこから10人乗りの小さな船でハンドレッドアイランドのうちのケソン島へ。

ハンドレッドアイランドを日本語で言えば「百島」。
その名のごとく、小さい島がエメラルドグリーンの海にあちこち浮かんでいる。

船上から見ると海はかなり深いようだが、底の方まで透き通っていて美しい。
「ウワァ~」期せずして一行の喚起が一斉に響いた。
エメラルドグリーンという色は、人間が観念的に作りだした色だと思っていたのだが、
ここの海には本当にそれがあった。

島で私たちを待っていたのは、新鮮なエビとカニ、
それにバギオの姉妹校ドミニカンスクールの3人の女性との笑顔。
姉妹校の先生やシスター方は私たちのランチの支度に忙しそう。
その好意に甘えて、私たちは早々と水着に着替えて海に飛び込んだ。
バテ気味だった早朝のわが体も、たちまち疲れが吹っ飛んだみたい。
われながら現金なものだと思う。

「おい、きょうは何月何日だぁ?」と、野本先生。
「はぁ~い!12月24日でーすっ」
「ということは・・・」
「クリスマスイブで~~~~~~すっ!」
「妹は今ごろ日本でコタツの中にもぐり込んどるじゃろな」
と、みんなは泳ぎながら大声で笑い明るく叫びあう。

ふと気がつくと、3人の姉妹校生は泳いでいない。
「なぜ泳がないのか」と聞くと
「勉強で忙しいから」・・・と言う。
さらに「今年は一度も泳いでいない」というのだ。
常夏のフィリピンでこんな信じがたいことがあろうか!!

3人の話では、授業は午前7時半~午後5時まで。
そのうえ家庭でも5時間また勉強。
そして翌朝は5時からのミサに参加する、というのが毎日の日課だそうだ。
「ええ~っ」
私たちは一斉に驚きの声を上げた。

3人は笑いながら「生物が好き」「数学が好き」と語る。
先進国に追いつくために勉強するのだという彼女らの瞳は美しかった。
私たちは自分自身の勉強態度を深く反省させられた。

島を引き上げ、アゴー市に着いたのは午後4時半ごろ。

アゴーの浜はその昔、呂宋助左衛門がフィリピンでその第一歩を踏み出したところである。
今も小さな町だが、住民はほとんどがカトリックの信者だ。

今回の親善訪問に便宜を図ってくださったアピラス観光大臣夫妻を訪れた私たちは、
そこでステキな子どもたちのクリスマスパレードに出会った。

まわりの村々から大勢の子どもたちが、サンタクロースや天使に仮装。
てづくりの「ランタン」や、星の形をした飾りを持って、楽しく、にぎやかにパレードしている。
そして、私たちの横にいる観光大臣夫妻にかわいらしい手をそれぞれに振って通ってゆく。

その夜、ドミニカンスクールで開かれたクリスマスパーティには、私たちは浴衣姿で参加した。

一行の浴衣姿は現地の人たちには非常に物珍しく映ったようで、
ちょっとしたスター気分を味わうことができたが、
逆にいえば、私たちは見世物的存在だったかも。

このパーティでびっくりし、冷や汗をかいたのは「レチョン」という料理。
早く言えばブタの丸焼きである。
これがテーブルの目の前にデーンとあるのだ。

現地の人たちは、そのブタ君のおなかにナイフを突き立ててムシャムシャ。
渡地もこわごわその肉を一口。
うーん、柔らかくて美味しい!!
ブタ君の冥福を心の中で祈りながら食べた。

パーティのあと、バギオ大聖堂での真夜中のミサは、
まるで日本の神社仏閣の初詣のようで
教会の中には2千人とも3千人とも数え切れないほどの人でぎっしり。
前の広場にまで人々があふれている。

気温は25度を軽く超えている。
蒸し暑い気温と人いきで汗がプツプツ噴出してくる。
聖なる苦しみにもあずかったクリスマスミサ。
暑さにボーっとしている間にミサは終わった・・・

ゲタをカラコロ鳴らし、浴衣姿でホテルへの家路を急ぐ私たちの一行に、
振り返らない人はいなかった。
みんな「ミス浴衣」になった気分。
ホテルに着いたのは真夜中の1時だった。


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