2007/01/27(土)21:39
戦士たちのプライベート。
う~む。
やはり雨人間らしい。
約1ヶ月前から予定していた、「元お局ちゃんと一緒に、営業Kさん宅訪問」は、雨が降ったりやんだり…ヘタしたら雪でも降りそうな、そんな1日となりますた。
お局ちゃん、身重なのに無理させちゃってごめんよー!
「いらっしゃい!」
昨日もその前も…毎日顔を合わせている営業Kさんが出迎えてくれた。
すんませんね、休みの日までアタイの顔を見せちまって…。
Kさんちには、もうすぐ1歳になる男の子がいます。
「いらっしゃ~い!」
奥様がその男の子を抱っこしてニコニコしながら仰ってくださいました。
「お久しぶりです」
奥様も元、当社の本社で勤務されていた方で、2人は社内恋愛。そして…。
お局ちゃんと奥様とアタイは3人揃って同い年。
「あ~。お腹大きくなったねー!」
奥様がお局ちゃんのお腹を見ながら言った。妊娠7ヶ月のお局ちゃんのお腹は、1目見て妊娠真っ只中と分かるほど、大きくなっていた。
こういったメンバーが集まれば…。
自然と盛り上がるのは出産&子育てのお話。
同い年とは言え、独身真っ最中の私には、いくら子持ちの友人が多いとは言え、自分が実際には経験してない話なので、聞き役に回る。
「スナイダーズさんは…。結婚願望は?」
奥様が突如、私に話を振った。
「今は、全くないです。それよりもしたいことがあって…」
いつもいつも顔を合わせているKさんは、それなりには私のことを知っていたけど、会社とプライベートでは全く別人の私の話は、何もかも意外!てな感じで、Kさんは少々驚いていた。
「夢物語のような…。それに、結局はまだ口ばっかりで実際に色々経験しているワケではないから、そんなに大っぴらに自慢しながら言うことではないのだけど…。それにその先のことは、自分でも分からないし、どうしたいとかも決めてないし…。とにかく気持ちばっかり先走っててドンドン大きくなるばかりだし…」
そう。結婚し、出産して子供の1人や2人、抱えていても可笑しくない歳。
自分の「家族」をちゃんと持ち、そしてシッカリ守っている3人に囲まれて、子供みたいな夢物語を話すのは…ちょっと気が引けたけど、それでも…。
「そっか、そっか~」
奥様はとても熱心に聞いてくれた。勿論、いつもいつもメールでやりとりしているお局ちゃんも、うんうん頷きながら聞いてくれた。
「スナイダーズは…。会社と、こうしてフツーに話をするのとでは全く違うのな。すげー面白いヤツだったんだな」
Kさんも驚きながらも私を認めてくれた。
「まだ…。どうなるのか分からないけど。でも、私はこれを通過しないと、気が済むまでやらないと、次に進めないんです。それだけは確か。だって今は結婚願望はないけど、でもやっぱり、それなりには結婚したいとは思うし、子供も育てたいとは思う」
「それで良いと思うよ。とてもステキなことだと思うよ」
奥様はニッコリ笑いながら言った。
世間一般の。
平均データは何なのかは分からない。
でも。
常識的に考えれば…。
私は常識の範囲内を逸脱している非常識の人間だと思う。
これが常識だ!てものは、紙切れにすら具現化されてないけれど、でも、頭でちょっと常識と言うものを考えれば分かることだ。
だから…。
あまり言わない方が無難だと思っている。私のこの考えは。
でも。
世間一般の、常識の範囲内に存在している人間は、この非常識人間の頭の中を知りたがる。
そして。
大概が、何をバカなことを言っているんだと、それでどーするんだと、常識やら世間一般的現実やらそんな、非常識人間には弱い所を突きつけてくる。
そーゆうもんだと思っている。私は。
だから。
自分を解放すると言う事はあまりしない。
昔から私の、ちょっと変わった考えを知っていて、スナイダーズの常識はそーゆーのだって自動的に納得する友人らには、ごく自然に話はできるのだけど、それでも中々上手くは表現できない。
自分を出すということが、怖い。
否定されるのが、怖い。
初対面で、そして、常識的な家族をちゃんと守り続けている若いその夫婦には、私のトンチンカンな一面は、さぞかし驚いたことだろう。
特に。
会社では、全く「スナイダーズ」は押し殺し、ただの会社の「歯車」の1つとして、マシーンのように常識的人間をやっている私しか知らないKさんは、もっと驚いたことだろう。
ま…。
時折、ヘンなことを口走ったり、挙動不審な行動をしたりのエラーを出してはいたけれど(苦笑)
でも。
そう言った、戦場のようなその職場で。
家族よりも長い時間一緒に過ごしている営業Kさんは…。
たぶん。きっと。
「友人」として出会っていたならば、きっと凄く仲良しになれるだろうとは前から思ってた。
同じ会社の一員としては…。ちょっと頼りなくて、おっちょこちょいで、ちょっと抜けているKさんは…。結構、ケンカが絶えない(苦笑)
「Kさん。私はこの会社で1番出来が悪くて、迷惑ばっかりかけてごめんなさい。そんな人間に休みの日までノコノコ押しかけられて大変だったでしょう?でも今日は、本当に楽しかったです。ありがとうございました」
帰りがけ。
お局ちゃんと別れ、トイレットペーパーを買いながら私は電話をした。
「何をバカなこと、言ってんの。東京支店からこの支店に異動してきて、そして楽しく仕事してこれたのは、スナイダーズがいたからだよ」
約2年前。
東京から若い社員がやってくる。
既婚者ばかりのオッサンで溢れ返っていたこの支店に、初の若者がやってくるー!
その知らせに、初めてこの支店内がざわついた。オバちゃんらは朝からソワソワしていたのを思い出す。
「Kです。宜しくお願いします」
メガネをかけたその若者は、ちょっとオシャレなスーツを着ていて、持ち歩ける小さなノートPCを持ち、いかにもシティボーイって感じで、私は少々敬遠したもんだった。
「スナイダーズさん。コレ、お願いします」
初めの頃は…。ようやく歳が1つしか違わない人がやってきたという親近感よりも、コイツちゃんと仕事できるのか!?ってな疑心暗鬼で彼をみていた。
「ねえねえ。『NR』って何?」
オバチャンがanegoにコソコソ言っていた。ふと顔を上げ、オバチャンらが見ているホワイトボードにつられて目を向けると…。
Kさんのところだけ、「NR」と明記されていた。
のちにそれは…。ノーリターン、いわば「直帰」の意味だった…。
何だ、コイツ。
益々、疑心暗鬼になった。
そんな。
酷いことを考えていた。
それが、いつのまにか…。
「コレ、処理回しておきましたから」
「アレ、手配しておきましたから」
何故か…。Kさんの仕事だけは、きっちりやってあげたいと思うようになっていた。
それは今、思えば…。
慣れない土地で、必死にツワモノオッサン共に混じりながら頑張っている同世代のその若者が、何だか憎めなかったから。
バカみたいに正直者で、営業なんていくつウソをつけてなんぼなのに、何度駆け引きに勝ってなんぼなのに、誠意で突っ走るその不器用な若者が、何だか憎めなかった。
それに…。
「ありがとう」
必ず、そんな言葉を言ってくれるのも彼だけだった。他の人は皆、それがオマエの仕事やろーもん。そんな、当たり前のような態度の中、彼のそのごく自然な「ありがとう」「助かったよ」と言う言葉が妙に嬉しかった。
友人として出会っていたら…。
きっと何でも素直に言い合えるような、そんな関係になれていたと思う。
この会社のような戦場じゃなく、天国のような穏やかな…学校や居酒屋や、そんな場所で出会っていたら、もっと違う時間を過ごせていたと思う。
でも。彼は。
「スナイダーズがいたから良かった。嫁さんのためにも、また遊びに来てやってくれ」
マシーン化している私を見せ続けたKさんに、人間スナイダーズを見せるのは…
正直抵抗があったけど、でも良かった。
勇気をだして良かった。
とても気持ち良かった。
Kさん。お仕事、厳しいですけど、奥様のためにも、坊やのためにも、踏ん張りましょうね。
私の力で良ければ、いつでも貸します。
「おかえり。遅いですよ。Kさんのご飯、食べちゃいましたよー」
近々…。
家に帰れば、さっきまで見ていたマシーンスナイダーズが、Kさんの茶碗によそられた米を、人間スナイダーズの源として食べている光景を目撃することになるでせう…。
「はよ、南極でもインドでもどこでもいっちまえー!!!!!!!」
んなことは…。
言いっこナシですよ?