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テーマ:愛犬のいる生活(79740)
カテゴリ:読活(読書)
本との出会いは運命である。
あの日、図書館に行かなかったら。 図書館で動物書籍の企画展示がなかったら。 この本に出合うことはできなかっただろう。 たまたま通った、あの日、あのコーナーで、周りから浮き出るように、僕の目に留まった本。 それが本書である。 ![]() 昭和の文豪から現代の人気作家が語る犬たちに、 かつて僕が飼っていたリキやん(柴犬系雑種)の面影を重ねる。 例えば、 ・公園のベンチに座り、肩を組んで夕日を眺めるくらいにでかくなった。(杉浦日向子/クロや) ・相手によって、ウラ、オモテがある。/犬は、僕のことをはっきり犬だと思っている。(田中小実昌/犬の悪口) ・短い尾をちぎれるほど振って喜ぶ。(山田風太郎/わが家の動物記) ・たぶん、私よりずっと揺るぎない人生を持っている。(江國香織/雨はコーラがのめない) ・ひとまず心配事は脇において、とにかく散歩いたしましょう。散歩が一番です。(小川洋子/とにかく散歩いたしましょう) ・いつまでペラペラしゃべって遊んでるんですか!あなた!(鴨居羊子/海の散歩道) ・帰るまでの途中で、何度も私の顔を見上げ、二人は同時にニーッと笑いあった。よかったねーと言い合った。(鴨居羊子/海の散歩道) ・彼らがどんなに自分の動きに注意を払っているのかわかってびっくりした。(吉本ばなな/いつも見ている) ・一緒に過ごした人間は時を経て変化するけれど、犬はいつも変わらない。(山本容子/芸術の神様) ・私の家の庭へ入りもせず、ただ家の外をさまよっただけで、あきらめて神田へ行ったのである。(川端康成/愛犬家心得) などなど、枚挙にいとまがない。 これらを読むたびに、目の前に在りし日のリキやんがはっきりと現れるのだ。 また、リキやんの思い出は、僕の青春時代や家族の日常、故郷の風景と重なる。 嬉しい時にはリキやんとはしゃぎ、苦しい時にはリキやんの隣に座った。 家族はリキやんの話題で笑い、始終、窓の外の犬小屋を眺めた。 そして、リキやんの好きだった公園や空き地、焼き鳥屋さん。当時の街並みが散歩中の夕暮れの中に蘇る。僕も実家の両親も時を経て変化したけれども、リキやんの思い出は家族が賑やかだった頃の記憶を呼び覚ますのだ。 無人島に行くときに一冊だけ持っていく本は? という質問がある。 これまでは、司馬遼太郎の「項羽と劉邦」(厳密に一冊なら下巻)と答えていたけれども、 ちょっと迷う事態になった。 菅啓次郎さんの詩のラスト。 ーぼくはパピルスー ー君の心にあってー ーきみが忘れたすべてをー ーぼくが覚えておくよー 本書を持っていれば、無人島に行ってもリキやんと一緒だ。 だから、真剣に悩んでいる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2025.12.12 05:50:04
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