2021/07/03(土)21:48
少年漫画感想『逃げ上手の若君』1巻(松井優征先生)
少年漫画感想
『逃げ上手の若君』1巻(松井優征先生、週間少年ジャンプ)
1333年。鎌倉幕府の正当後継者とされる少年・北条時行は、足利尊氏の謀反により一族・家臣郎党すべてを奪われ、鎌倉を追われる。
文武に優れているわけではない、ありふれた少年の唯一の特技は…「逃げること」。
ひたすらに「逃げること」、そして「生きること」でやがて少年は世を揺らし、伝説となっていく…。
『魔人探偵脳噛ネウロ』『暗殺教室』の、
松井優征先生の最新作!
連載開始時から「面白そう!」とときめいておりまして、昨日、第1巻発売を待っていそいそと購入しました。
とにかく、前2作の面白さ、キャラクターの良さ…何より、ラストまでぶれず、振った要素をきれいにまとめ上げてくれるジャンプ漫画あるまじき満足感・読後感が凄まじく、絶対的な信頼感を持って読み始められる作家様です。
今回は、日本史の中でも人気のない部分を取り上げた、実在人物をベースにした歴史モノとのことで…今までの2作とは、第一印象が異なりました。
ネウロ、暗殺教室に関しては、真っ先に奇抜なアイデアやコマ取り…「異質」感が、読者へ訴求してくる第一印象でしたが、本作は、「異質」「奇抜」といった印象が先立ってはいません。
非常にまっとうで、正当な作品、という印象。
そして…1巻の表紙を観れば、一目瞭然!「画面意欲作」です。
画面への意欲が、これまでの2作と明らかに違います。
メディアミックスとしての展開が云々、仕掛けとして云々、というとっかかりではなく、「漫画作品」としての高みをひたすらに目指した作品だ、
と感じました。
巻末には、Special Thanks として、日本画家、書家、歴史監修、着物柄デザイナー、水墨画家、3Dモデル製作(甲冑・武器)…といった外注先の方のお名前が並んでいて、
これはっっ…盤石な体勢の作家様にしか出来ない、
贅沢な作り方の漫画作品だ!!とひしひしと感じました。
めっちゃ読み応えありました!!漫・画・万・歳!!!!
漫画って、…本当にイイもんだな…無限の奥行がそこにあるものな…。
この作品は、暗殺教室のような、派手なメディアミックス展開の期待できる「来た!」という作品に比べ、印象は地味なものになるんじゃないかなぁ、と思います。
ただ!読まなきゃいけないのは、漫画媒体が好きで好きで仕方がない、「漫画好き」な読者です!
漫・画・万・歳!!!!
主人公・時行様は、信濃の国・諏訪大社の神官・諏訪頼重に匿われ、作品の舞台は鎌倉から長野県・諏訪湖へと移りました。
個人的に、土地勘も(そこそこ)ある場所での展開になり、ワクワクしています♪
第2巻は、来月早々に発売されるとのことで、続きを楽しみにしています!
by姉