2024/04/29(月)18:14
暁のヨナ 44巻(第254話・255話・256話・257話) 感想(姉編)
久々に本誌の簡単感想です。
暁のヨナ 44巻(第254話・255話・256話・257話) 感想(姉編)
ここのところの、暁ヨナの怒涛の展開!毎回、唸りながら読んでいます。
…ハク・スウォン間の関係性に絡まない部分だと、こんなにスムーズに話が進むものなのか…!
*以下、花とゆめ最新号掲載話/単行本44巻収録分のネタバレ含みます。
ご注意ください!*
■緋龍王/四龍伝説の終焉?
怒涛の伏線回収。
・天命…四龍と緋龍王伝説を終わらせる方法?・剣と盾…緋龍王の廟に入っていた剣と、ゼノさんの紋章?・四龍終結せん時…血の盃の中で四龍の血が一つになる時?
一気に説明され、「えっそうなのっっ?」と読者が驚く間もなくゼノさんは盃の中へ…そこで「ゼノさんの血の中に居た龍神様」と対面します。
…ゼノさんが、黄龍と対面している。
つまり「青年ゼノ≠黄龍」の構図だということですよね。
四龍伝説を終わらせて、天か地かいずれかに帰ろうとするゼノさんに対し龍神はこう言います。
・お前は天にも地にも行けぬ・お前は王を守る誓いを反故にした・お前の命はまだ尽きていない
盃の外に再び返されたゼノさんは、死ぬことが出来ず失望しますが、そこで何か「あること」に気づいた表情をしました。
どうなっているのか概要が明かされてはいませんので、願望も込めたただの予想ですが……コレ ゼノさん、「龍神の血」と別れて
ゼノさん本人は不死が解けてるんじゃないですかね!?「ポタポタ」という擬音語があり
血が止まらなくなっているのかな?という描写になってますし。
なんなら、キジャさん・シンアくん・ジェハさんの3人も、龍神と別れて、廟の周囲に転がってたりしてませんかね?※TVアニメのOP映像の如く
だって、ゼノさんの体内から出た龍神さんが、ゼノさんに向かってはっきりと言っています「『お前の』命はまだ尽きていない」って。
四龍たちは元は龍神の血を飲んだだけのただの人間で、そもそも龍神とは別モノの存在のはずなんです。
血と別れたら元の人間になるし、
まだ「人間としての生」を生き抜かなきゃいけないよ、それが緋龍王の願いだからね、ってことなんじゃないですか?
ーと、私達は最近の展開描写を
「スーパーイージーな四龍の呪縛からの解放」と予想しています。…うん、『フルーツバスケット』の十二支の呪いも、結局何もしなくても自然と解けたし。なんかそんな感じのイメージなんじゃないかな、と。
■四龍伝説の終焉の意義について
二千年の時を経て、緋龍王が転生し、四龍たちが再び終結した真の理由は、「緋龍王/四龍」伝説が終焉することを明示化するためなんじゃないかな、
と思っていたりします。
以下は、かなり前に書きたくった「高華国の特徴について」記事群のリンクです。
その1・地理、体制、武力主義
その2・地の制約と血統
その3・体制と権力の不一致
その4・地の制約の補強、形骸化
ここでも一生懸命語っている通り、私は四龍の能力は建国神話内で既に権力から切り離されているが、それにも関わらず、高華国体制は「緋龍王/四龍伝説」を骨格として形作られており、その体制が数千年ずっと継続して来ていた、と認識しています。
国家体制と伝説を繋ぐ存在として機能していたのが、神官職だったはずなのですが、二十数年ほど前、ユホン王子の弾圧で壊滅しています。
要は、二千年という時を経た伝説の影響力の経年劣化、そして神官職の壊滅という決定的事象を受けて、「緋龍王/四龍伝説」を骨格とした国家体制の維持が無理になっていた、という状況がそもそもあった。
高華国の人々は、「もう緋龍王/四龍伝説を骨格にした国家体制作りは出来なくなった」こと
を冷静に認識しなければならないんですよ。
四龍伝説は、はっきりと、国民の誰しもに分かる形で、「終わったよ」と明示することが必要であり、それを可能にするのが、『四龍が、能力を失って、
人間として戻って来ること』なんじゃないかな、と。
現在のスウォン政権は、スウォン様がもともと緋龍王伝説が大嫌いですので、「緋龍王/四龍伝説」から離れた、武力でもって強国化を図っていました。
ただ、スウォン様自身が緋の病を発症し、時間がないと焦る中で、実際に四龍を連れだってヨナ姫が帰還し、「緋龍王/四龍伝説」があれば、次期ヨナ姫新王体制を形成していけるのではないか…とあまりにもスウォン様らしくない、明後日の方向へ
思考を走らせていた状態だったんじゃないかな、と思います。
スウォン様は256話で龍たちが戻って来ないかもしれない事態を把握し、一気に「冷静になって」「四龍が消えるなら見届ける」方向に気持ちが向かったようです。非常にオモシロいシーンだと思いました。
まだまだ全然、どんな状況として描かれるのか分かりません。
ただ、繰り返しになりますが、とにかく重要なのは、
「きちんと四龍伝説が終わった」ことの明示化
そしてもちろん、キジャ・シンア・ジェハ・ゼノさんの4人が、きちんと「人間としての生」を全うできるような形で、
無事に戻って来てくれること
なんじゃないかな、と思ってます。
■予知夢?過去夢?に襲われるヨナ姫
一貫性のない夢を見続けるヨナ姫。
・ゼノさんに刺され倒れるハク様
・1巻1話冒頭、スウォン様に代わり
ジュド将軍/ケイシュク参謀を引き連れて進軍する?ヨナ姫 (世紀の「お前かよ!!」案件)
・最後は過去に飛び緋龍王と会話をして、四龍を迎えに行く約束をしました。 (シーン作りが非常に『NGライフ』っぽくて、懐かしかったです)
どう捉えたら良いか分からないような夢もありますが、少なくとも「予知夢」は全て彼女にとって
『こんな未来は嫌だよね!?』というものになっていると思います。
一貫して、ハク様を失う・ハク様が居ない世界線のようですからね。
とにかく、一気に物語が進んでいるのを感じます。本当に、42巻までの進捗ペースに比べて驚異的なスピード感。
ハク/スウォンが絡まないと、こうもサクサクと…(以下略)
すごい勢いで伏線回収(?)がされて…「えっそんなんでいいの!?」と不安に思う気持ちがある読者も居るんじゃないかな、
と思いますが、個人的には、「サクッといったな!うん、こんなもんだと思ってた!」という印象で、軽い気持ちで読み進めている部分もあります。
今回一気に伏線回収されてる要素は、なんか「伝説の少女っぽい」「女王誕生っぽい」話になりそうな、いかにもファンタジーな雰囲気を、初期初期に提示しているものが多いと思います。
あくまで個人的見解ですが、これらはどれも、基本的にはミスリード的な機能が強い要素というか、本作の本題から読者の目を逸らせる目的があり、わざと意味深な感じで投入されているものなんじゃないかな、
と受け取っていました。
どのような形で伏線回収されるのか、全然想像がつかなかったですし、…重要な伏線だとも思っていませんでした。
ですので、今回、このスピード感でこれらの「伏線」を一気に駆け抜けていく作品のバランス感を見て、「やっぱり本題じゃないよね、コレ」と思いながら読み進めていたりします。
だって伝説も天命も、そもそもヨナ姫の動機には直接関係がなかったですし。ヨナ姫は、そもそも父親の敵討ちがしたいわけではなく、王位を奪還して自分が国を統治する・軍を率いる、という志向があるわけでもない。神官から天命を受けたから四龍を集めたわけでも、
緋龍王の生まれ変わりだから、何かをしようとしているわけでもない。
彼女の動機は、最初からずっと「ハク様を護る」「ハク様を失わない」ことでした。
予知夢は、ヨナ姫の本質的・潜在的な「恐れ」を読者側に改めて提示して、思い出してもらって、いよいよ物語を「本題」に集約させて行くための布石かな~、と思って読んでいます。
さてさて、上記のようないち読者の予想や認識は、果たして合っているのか…
次話の数ページで、あっさりぶった切られる気がしてなりません;;
次回掲載は6月とのことで、少し間は空きますが、すごく楽しみにしています!
by姉