040822 ランダム
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適当な日常

適当な日常

1.

晶  「なぁ、雪也」

無言の車内がなんとなくいやだったのか、俺は信号で止まったとき、後部座席に座っている弟に声をかけた。

雪也 「何、晶」
晶  「この前のテスト、大丈夫だったのか? お前全然勉強している様子がなかったが」
雪也 「……まぁ」
晶  「ゲームも程々にしろよ? またお前のせいでPC禁止されるの嫌だからな」
雪也 「……」

また始まる沈黙。ちょうど信号も変わった。アクセルを踏み、それと同時に風景が後ろへ流れる。
――――――その日は、良い天気だった。
この国に来て早八年。今の変わった日常も、今ではいたって普通の日常。毎週5日。俺は車を運転し、自分の学校へと登校する。
――――――アメリカでただ一つの純日本学校が、俺の住む地域に建設されている。制服もあるし、部活、購買、その他もろもろが、日本の学校とほとんど変わりがない。ただ、アメリカに住む日本人が通うこの学校は、生徒の入れ替わりが激しい。生徒のほとんどが親の都合でアメリカに来るためである。そして、親の都合で帰国していく。俺は何人もの新入生を向かえ、何人もの友と別れを惜しんだ。8年もたっているが、俺が日本へと帰る日はいまだ未定だ。
ハンドルを器用に回し、いつもの狭い駐車スペースに、絶妙な操作で車を停める。エンジンを切り、鍵をポケットにねじ込み、助手席のかばんを掴んで車を降りた。
――――――この国では、16歳で運転免許が取れる。そのため、高校生でも車で登校できるのだ。学校にも専用の駐車場があり、学校に手続きを出せば、駐車スペースを指定されるので、そこに車を停める。当然、俺も免許をとり、手続きをして、車で学校に来ている。

晶  「じゃあ、帰りは何か用があったら電話くれ。何もなかったらいつもの時間に帰る」
雪也 「あい、わかった」

雪也は、中等部校舎へと向かう。俺も、自分の校舎へと歩き出す。
――――――この学校は小、中、高と三つの校舎がある。三つの別の学校が隣り合わせになっているようなものだ。小等部校舎は西、中等部校舎は東、高等部後者はその間に建てられている。
裏門から入り、校舎へ向かうと、見知った顔がいくつか。

クラスメイト「オッス、楓雅」
先輩 「おはよう、楓雅君」
後輩 「おはようございます、楓雅先輩!」

クラスメイト、先輩、後輩と、多くの人に声をかけられる。八年間もいるためか、学校内での知り合いは多い。まぁ、俺より長くいるやつもいるのだが。

?? 「楓~、おはよう~」

あまり聞かない愛称を耳にする。俺のことを楓と呼ぶ人物はこの学校に片手で数えられるほどしかいない。

晶  「サトか、おはよう」

三年の先輩、岡崎里美。年上なのだが、本人が堅苦しいのが嫌だというので、俺は愛称を使ってサトと呼んでいる。

里美 「昨日の学力テストどうだった?」
晶  「まぁまぁかな。サトは余裕だろ?」
里美 「いやいや、かなりぎりぎりだと思うよ~。私そんなに頭良くないし」
晶  「そんなことないぞ? 俺よりかは頭良いべ。で、これから朝練?」
サト 「いや、今日はないの。楓は?」

選択肢: A.今から朝練。 B.いや、今日は俺もない。



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