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July 9, 2008
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カテゴリ:
●読んだ本●

「夏のこどもたち」 川島誠著 角川文庫






短編集なので
一作ずつ簡単に書きます。



 ●「笑われたい」
 「オレ」(高校生)が中学生だった頃の話。

 中学に入った直後に転校して来た
 ケンジという同級生のことを
 「オレ」の目線から書いてある。

 
 つまらないジョークを飛ばし
 いつも笑われて中心にいようとしていたケンジ。

 
 
 感想

 ちゃらちゃらした口調なのだが、
 「オレ」は結構ケンジを観察していたようで

 不快に思いつつも
 気になっていたのだろうと思う。
 
 中学校に潜む虐めの体質を
 さらりと書いてある。



 ●「インステップ」
 転校生の僕(小5)はサッカーだけは得意だ。

 でも新しい小学校では、
 でかい女子が僕の邪魔をする。

 新しい環境に慣れるまでの
 高井雅弘の苛立ちと不安と努力。


 感想

 転校生は不安を抱え
 プライドにしがみついて乗り越えようとしている。

 大変だろう事と、
 自分を変えていく勇気とが
 前向きに生きる秘訣なのかな。





 ●「バトン・パス」
 陸上選手の僕(小6)は短距離走が速くない。
 
 夏の大会でリレーに出る事になったが
 バトンのパスも上手く行かない。
 
 でも僕は遅いなりに頑張って練習した。


 感想

 学校で自信のない子は
 こうして力を付けて行くのだろうと思った。

 逃げないで向かうから
 自信が付いて行くんだと思った。

 




 ●「夏のこどもたち」
 おれ、朽木元(中3)は左目がない。
 だから体育だけはうまく行かない。
 
 他はほぼオール10なのに。

 おれは熱くなる事も
 皆に流される事もない。

 だけど何をして良いか解らない。
 だからそう言う時は勉強をする。

 ずっと学級委員をしてきた優等生だが
 ただ勉強をしていただけだ。

 担任の瀬川先生に、
 校則問題を話し合う特別な委員会の
 クラス委員の一人に
 強引に決められてしまった。

 そんなのはどうでも良い。
 
 どうでもいいからさぼっているうちに
 問題はとんでも無い方に走り出した。

 おれはどうでもいいんだ、そんなこと。
 家では母親が酒ばかり飲んでいる。
 
 おれは何をしたらいいか解らない。





 
 感想

 私は多分
 10年ほど前にこの話を読んだ記憶がある。
 
 当時の私は、
 しばらくの間世間に疎くなっていたため
 私の精神の慣らしのために
 まずは児童書から読み始めた。

 それは赤ちゃんに
 離乳食を与えるようなものだった。

 児童書ばかりを数年読んだ。

 始めは小さい子向けの本から読み、
 段々とヤングアダルトを読むようになった。

 それから大人の優しい話を読み、
 次には少し厳しい話を読み、
 ようやく本来の推理小説までたどり着いた。


 この「夏のこどもたち」は
 私がヤングアダルトを読み終える頃に
 読んだのだと思う。
    
 当時の私には、
 この話は退廃的で暗くて灰色のイメージで
 希望の無い少年、少女の話だと思っていた。

 爽やかでは無い感情ばかりが気になって
 その向こうが全く見えていなかった。

 不快感だけが残った。


 そして先日、
 中古店で50円で買ったこの本は、

 「夏のこどもたち」という楽しげな題名と
 可愛い子供達が並ぶ
 爽やかな水彩画に騙されて買ったのだ。


 所が短編3作は、
 短い中に小中学生の
 生き生きとした感情や生活が

 感性豊かに瑞々しく書いてあり、
 深い精神性が伝わってくるものだった。


 そして中篇の「夏のこどもたち」の元君。
 
 成績優秀だが片目のハンデがあり、
 いつも酒を飲んでいる母親と
 出張ばかりの父親がおり
 
 斜に構えた物の味方や観察力の鋭さと
 毒舌的な表現が素晴らしくて、
 すぐにその魅力に参ってしまった。


 例えば体育教師の島本が
 問題児の高橋に声を掛けるシーンがある。

 元は立ち去ろうとしていた時だ。

●----------------------------------------------●

 「なあタカハシィ、
 本当はおまえは授業に出たいんだろう。
 寂しいんだろう?」
 
 最高だった。思わず振り向いてしまった。
 島本はいいやつだって言い方もできるけどね。

●----------------------------------------------●

 ここの「最高」は
 「最高にばかばかしい」の最高で
 
 「島本はいいやつだって・・・」のいいやつは
 能天気と言う意味だ。


 元の性格、感性を
 この短い文章がよく表している。

 十数年前の私は、
 この小説の素晴らしさに気付けなかった。


 
 私は小学生から読書に親しんで来たけれど
 私は小説を書く事は出来ないと感じていた。

 それは私の根が短絡的だから。
 単純でストレートな人間だから。

 だから私が自分で納得出来るような話は
 書けないと知っていたから。

 
 計らずも、こんな珠玉のような小説を
 十数年前には理解できない人間だという事から
 
 自分の直感
 「私は自分が納得できる小説は書けない」
 を証明してしまった。


 こんなにキラキラ輝くような
 瑞々しくも、
 
 思春期の危うさや純粋さや切なさを
 短い中に凝縮した
 素晴らしい一遍を、
 私は理解出来なかったのだから。


 もっと豊かな人間になるために
 川島さんの本をこれから探そう!!!


  







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Last updated  July 9, 2008 06:45:08 PM
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