千魔万来

アイヌ

アイヌとは

 「アイヌ」とは、アイヌ語で「神」に対する「人間」のことを指しています。
アイヌ」は本来人間一般を意味していましたが、特に後世、和人や露西亜人に対する自分達のことを言うようになりました。
和人は言うまでもなく日本人の事で、シサム「自分達の隣人」といい、露西亜人はフレシサム「赤いシサム」と言います。
 アイヌという言葉は、「人間」という意味ですが、ただ単に人間ではなく、それ相応の人格が認められて「アイヌ」というのです。

 アイヌ語は、東北地方・北海道・樺太(カラフト)・千島列島(クリル)等で使われていたと思われますが、
現在は殆ど北海道の太平洋岸地域と石狩流域に限られています。
 またアイヌ民族は、アイヌ語を話しましたが文字は持ちませんでした。
全て口伝、祭等の儀式を通して次の世代へと受け継がれてきました。
ある古老は「書くと忘れる」と言ったそうです。
また若い者が教えをという時は、その儀式に参加して得よ、と言います。
自分で見て、聞いて、覚え、感じろと言う事なのです。

 アイヌ民族は自然と共存してきました。
 衣類は動物の皮、植物の樹皮等を用いて作ります。
獣皮衣は、熊・鹿・狸・狐・兎・犬等の毛皮を使いました。
アットゥシ(樹皮衣)で、一番良い物はオヒョウ、他にシナノキ・ハルニレ等も使いました。
衣類の背中の文様で大きく丸く描かれている2つ若しくは4つは、目を表し、
袖口の外に尖った文様は病魔を撃退するおまじないです。
 食は山や森から熊・鹿・兎・狸・狐等を狩猟したり、山菜を取り、
海からは鯨・海豚・海豹等を取り、川からは鮭・鱒・シシャモ・岩魚等を取ります。
鮭等は薫製状態にし、保存食とすることもあります。



アイヌの神々

 アイヌ民族は自然と共存し、川から魚、森から熊などの恵みを頂き、川の神、山の神に感謝します。
きちんとお礼を言わないと(儀式)、神様が怒り自然の恵みを頂けません。
逆にきちんとお礼を述べたり、その魚や熊を大切に取り扱うならば、神は悦び、多くの恵みをアイヌにもたらします。
 そして、神のことをアイヌではカムイと言います。

 アイヌは人間のまわりに存在する数限りない事象にはすべて「魂」が宿っていると考えます。
山に住む熊や狐、森に咲く花、人間の使う器、突然くる災害等がそれです。
事象とは、「天上の神の国カムイモシリからある使命を担って舞い降りてきて、姿かたちを変えながら地上に住んでいる証」とし、
使命があるのだからこの世での役割、存在感が有るのは当然であると考えるのです。

非常に高い位の神様は、生活に絶対欠かせないものです。
「火」 アペフチカムイ
「水」 ワッカウカムイ
このカムイはとても重要です。



「火の神」 アペフチカムイ

 アペフチカムイとは、火のばあさん神という意味があります。
別称には、チランケピト(天から降ろされた神)、イレスフチ(人を育てる神)、
モシフチ(国土を持つ神)、モシオイナフチ(大地を掌握する尊媼)というのがあります。
お祈りの種類によって身近な言い方やもっと丁寧に言う場合があり、パケト゚カムイ(口の早い神)等というのもあります。

 アイヌの住む地域は寒さが厳しい、ゆえに火は神聖です。
暖をとり煮炊きをするのに欠かせない神であり、大事に扱う事を怠ると、あっという間に家も家財も全て失う事になります。
 諸々の神にお願いをする時には、この火の神に仲介役をお願いします。

 イレスカムイ オソンココテ
 (火の神が、この杯に言葉を添えて)

 等と祈願します。



「水の神」 ワッカウシカムイ

 水の神へお願いのお祈りをする場合、直接は言わず
「ワッカウシカムイ イタカナッタ チューラッペマッ
 カムイカクケマク コト゜キアニクキルスイナ アミタンネクル
 カムイエカシ タパント゜キ コト゜キライエ チューラッペマッ
 カムイカッケマッ エウンネシ ソンコアニワ ウンコレヤン」

訳 水の神 と申しましても 瀬を司る 神の淑女へ
  この杯を贈りたい と私は思う 川ガニの神 神の翁に
  この杯を渡すので この杯を 瀬を司る 神の淑女に
  私の伝言を お取次ぎ願いたい

という言い方をします。
このように位の高い水の神へは、その一歩手前の川ガニの神を仲介してものを言うのです。



シマフクロウ

 シマフクロウは動物の中で最も高い位のカムイで、コタンコカムイ(コタンを司る神)といい別称がいくつかあります。

フムフム・オッカイ・カムイ
 「フムフムと鳴く神聖な男」という意味です。
 フムフムとは鳴き声の擬音です。
 オッカイは「男」。

カムイ・エカシ
 「神々の祖先」という意味です。
 アイヌでは老人は最も重んじられ、最高の尊敬と敬意と配慮でもって扱われます。
 そして若者が老人を訪れるとき贈り物を期待されます。
 エカシは「老人」「祖先」。

カムイ・チカッポ
 「神聖な鳥」という意味です。
 シマフクロウが尊敬されるのは、人間に大いに奉仕し、本格的に情け深い性質を持っていると思われているからです。
 チカップは「鳥」、ポは「小さい」。

ヤ・ウン・コントュカイ
 「世界の召使い」という意味です。
 シマフクロウは造物主から遣わされて、人間の必需品の面倒を見るのだと言われています。
 ヤとは「陸」、ウンは「の」、コントュカイは「召使い」。

ヤ・ウン・コッチヤネ・グル
 「世界の仲介者」という意味です。
 造物主と人間の仲介をし、また造物主に直接人間の要望を伝えると言われています。
 コッチュネは「仲介する」。

 天帝、つまり造物主は天国で最初にシマフクロウを作り、
しばらくしてからそれを自分自身と人間の仲介者として働くように人間の世界に遣わしました。
幸福なときも不幸なときも人間を援助し、人間に助言するように命じられました。
このため仲介者と呼ばれるのです。
そして召使いとも名前をつけられました。
なぜなら狩猟で手助けする他に、ホーホーという鳴き声で人間に危険だという警告を発し、
また人が健康であるように援助するからです。
村か住まいの近くまで来て、非常に大きな声で鳴くなら不吉な兆候と見なします。
しかし、その声が静かな、そして柔らかならば反映と幸運の前兆と見なします。

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