Ring's Fantasia -別館-

2006/08/09(水)16:17

『魔法使いたちの恋』―試験1―

魔法使いたちの恋(47)

『魔法使いたちの恋』、第3部スタートします♪ 少しだけリュイも成長しました(^^) ===================== 『魔法使いたちの恋』―試験1― 「はあぁ……」  これで何度目になるだろう。  口を開くと溜め息ばかり零れてしまう。  溜め息は、カイの専門なのに……。  その原因の大半が自分にあることは判っていたが、それはこの際無視する。  今、カイがこの場にいないのが悪い。  僕を、抱かないのが悪い。  だから、質問にも答えようがない……。 「なあ、教えろよ、リュイ。どんな顔してカイに抱かれてんの?」  図書館で本を探していたら、突然声を掛けられた。  驚いて顔を上げたら、本棚へと押し付けられた。  不幸なことに、専門書が並ぶそのコーナーの近くには、他に人影はなかった。  何処かで見たことのある顔だ。ずっと昔、第1の塔にいたような気がする。  しつこいくらいに問い掛けられる。  その度に溜め息を落とすしか出来ない。  だって、僕は知らない。  カイは、僕を抱かない。  『星祭りの集い』の夜、カイに「好きだ」と告げた。カイは頷いて、キスしてくれた。  学院中が知っている。  カイと僕は、恋人になった。  時間が流れるのは早い。  あれから1年近くの時間が経った。僕たちは最高学年になった。来週からは卒業試験も始まる。  抱くということがどういうことかも、僕なりに勉強した。正確ではないかも知れないが、今では多少なりの知識もある。  でも、カイは僕を抱かない。  何故かなんて、そんなこと知らない。――訊けない。 「何、リュイ苛めてんの? ソイ」  別の声が割って入ってくる。  そう、ソイだ。  明るい金髪に茶色の吊り目。間違いない。  もっとも記憶にあるソイは、少年の姿で、苛めっ子のままだったけど。  いつの間にこんなに大きくなったのだろう。  だが別に不思議なことではない。僕だって次の誕生日を迎えると17歳になる。  華奢な自分と違って、ソイは手足も大きく、肩幅も随分と大きくて、とても同じ歳とは思えなかったけど。 「エルか」  ソイがそう答えるのを聞いて、リュイは顔を上げた。  ソイの言葉どおり、割って入った人物はエルだった。  助かった、そう素直に喜べないのは、リュイがエルという人物を良く知っているからである。  見た目は美人だが、その性格はかなり破綻している。何を考えているのかよく判らない。  エルは第1の塔の同期生の中で一番関わり合いたくない相手であった。カイにも「近付くなよ」と念を押されたばかりである。 「……ふうん、ソイはリュイを抱きたいってわけか」  上から下まで舐めるように見つめた後、エルはアッシュブロンドの長髪を掻き上げてそう言った。 「趣味悪いね、ソイ」  溜め息とともにそう付け足す。  何だか悪い予感がする。  早くこの場を離れた方がいいような気がした。  そう考えて、リュイは口の中で小さく呪文の詠唱を始めた。 「あれ、察しがいいね。いつもぼーっとしてるお人形さんにしては」  エルがにやりと笑う。薄い灰色の瞳と、視線がぶつかった。  その瞳が、薄紅色を帯びていく。  しまった。  そう思ったときには、既に手遅れだった。  発動しかけた呪文が消失するのを感じ、リュイは嫌な汗をかいた。  エルの空間に、囚われていることを認識する。 「リュイは知ってるよね。僕の得意魔法。いや特異体質、といった方がいいかな?」  知っている。  エルの作り出す空間は、全ての魔法を無効化する。  かなり厄介な代物だ。 「さあ、イイコトしようか」  くすくすと笑うその声に、ぞくり、と恐怖を感じた。 ===================== 続きます♪ 6話程度の予定♪ お付き合い下さると嬉しいです♪ ===================== 今日もお天道様が頑張っています(^^; この日照りに参っている庭木に水をやるのが日課ですが、どうにも困ったことが…(><) 高瀬、虫、苦手なのです(><) とんでもなく…!! それなのに! 庭に出ると必ずセミに襲われます! 昨日はあろうことか高瀬の頬をかすめてくれました! ひええええーーーー!!! 怖い! 真面目に怖いです!! 毎日、恐怖の時間です(><) お面でも被ろうかな…(笑)。

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