2006/08/09(水)16:17
『魔法使いたちの恋』―試験1―
『魔法使いたちの恋』、第3部スタートします♪
少しだけリュイも成長しました(^^)
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『魔法使いたちの恋』―試験1―
「はあぁ……」
これで何度目になるだろう。
口を開くと溜め息ばかり零れてしまう。
溜め息は、カイの専門なのに……。
その原因の大半が自分にあることは判っていたが、それはこの際無視する。
今、カイがこの場にいないのが悪い。
僕を、抱かないのが悪い。
だから、質問にも答えようがない……。
「なあ、教えろよ、リュイ。どんな顔してカイに抱かれてんの?」
図書館で本を探していたら、突然声を掛けられた。
驚いて顔を上げたら、本棚へと押し付けられた。
不幸なことに、専門書が並ぶそのコーナーの近くには、他に人影はなかった。
何処かで見たことのある顔だ。ずっと昔、第1の塔にいたような気がする。
しつこいくらいに問い掛けられる。
その度に溜め息を落とすしか出来ない。
だって、僕は知らない。
カイは、僕を抱かない。
『星祭りの集い』の夜、カイに「好きだ」と告げた。カイは頷いて、キスしてくれた。
学院中が知っている。
カイと僕は、恋人になった。
時間が流れるのは早い。
あれから1年近くの時間が経った。僕たちは最高学年になった。来週からは卒業試験も始まる。
抱くということがどういうことかも、僕なりに勉強した。正確ではないかも知れないが、今では多少なりの知識もある。
でも、カイは僕を抱かない。
何故かなんて、そんなこと知らない。――訊けない。
「何、リュイ苛めてんの? ソイ」
別の声が割って入ってくる。
そう、ソイだ。
明るい金髪に茶色の吊り目。間違いない。
もっとも記憶にあるソイは、少年の姿で、苛めっ子のままだったけど。
いつの間にこんなに大きくなったのだろう。
だが別に不思議なことではない。僕だって次の誕生日を迎えると17歳になる。
華奢な自分と違って、ソイは手足も大きく、肩幅も随分と大きくて、とても同じ歳とは思えなかったけど。
「エルか」
ソイがそう答えるのを聞いて、リュイは顔を上げた。
ソイの言葉どおり、割って入った人物はエルだった。
助かった、そう素直に喜べないのは、リュイがエルという人物を良く知っているからである。
見た目は美人だが、その性格はかなり破綻している。何を考えているのかよく判らない。
エルは第1の塔の同期生の中で一番関わり合いたくない相手であった。カイにも「近付くなよ」と念を押されたばかりである。
「……ふうん、ソイはリュイを抱きたいってわけか」
上から下まで舐めるように見つめた後、エルはアッシュブロンドの長髪を掻き上げてそう言った。
「趣味悪いね、ソイ」
溜め息とともにそう付け足す。
何だか悪い予感がする。
早くこの場を離れた方がいいような気がした。
そう考えて、リュイは口の中で小さく呪文の詠唱を始めた。
「あれ、察しがいいね。いつもぼーっとしてるお人形さんにしては」
エルがにやりと笑う。薄い灰色の瞳と、視線がぶつかった。
その瞳が、薄紅色を帯びていく。
しまった。
そう思ったときには、既に手遅れだった。
発動しかけた呪文が消失するのを感じ、リュイは嫌な汗をかいた。
エルの空間に、囚われていることを認識する。
「リュイは知ってるよね。僕の得意魔法。いや特異体質、といった方がいいかな?」
知っている。
エルの作り出す空間は、全ての魔法を無効化する。
かなり厄介な代物だ。
「さあ、イイコトしようか」
くすくすと笑うその声に、ぞくり、と恐怖を感じた。
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続きます♪ 6話程度の予定♪
お付き合い下さると嬉しいです♪
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今日もお天道様が頑張っています(^^;
この日照りに参っている庭木に水をやるのが日課ですが、どうにも困ったことが…(><)
高瀬、虫、苦手なのです(><) とんでもなく…!!
それなのに! 庭に出ると必ずセミに襲われます!
昨日はあろうことか高瀬の頬をかすめてくれました!
ひええええーーーー!!!
怖い! 真面目に怖いです!!
毎日、恐怖の時間です(><)
お面でも被ろうかな…(笑)。