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逃げる太陽 ~俺は名無しの何でも屋!~

一年で一番長い日 71、72

「この人にどう思われようが、もういいやって思えたんだ、あの時」

葵はふっきれたように笑う。

「なんでこの人とケンカなんてしてるんだろう、って。話しても言葉が通じない相手に怒っても、意味は無いんだって。そう気づいたんだよ。呪縛から解き放たれた気分?」

うーむ。酔っ払いの戯言でそこまで吹っ切れたとは。といってもビール一杯程度しか飲んでなかったはずなんだが・・・俺って実は酒に弱かったんだろうか。いや、・・・きっと疲れてたからだろう。

しかし、葵のそれはきっかけに過ぎないと俺は思う。きっと葵は意識しなくても心の底では既に分かっていたのに違いない。自分の相手にしているのが、言葉・・・心の通じない人間だということを。

「あなたを連れまわしたのは、その気分をはっきりしたものにしたかったからなんだ。父は父で、あなたの存在に託けて俺を引き止めて、芙蓉と芙蓉の持つ情報の行方を執拗に聞き出そうとしてたけどね」

「なんか、凄い高い酒も奢ってもらったみたいだな」

「あなた、すごく楽しそうに飲むんだもの。だから、いいお酒を飲ませてあげたくなるんだよ。美味いってにこにこ喜ぶ顔を見ると、もっと美味しいのを飲ませてあげようって気になるんだ。父ですらそう感じてたみたいだよ」

お、俺は蒲鉾をもらった猫か。・・・海苔とかやると喜ぶよなぁ、あいつら。

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遠い目になりながら、俺は呟いた。

「だけど、俺はそれを全然覚えてないんだよ。なんでだ。今までどれだけ飲んでも記憶を飛ばしたことなんかなかったのに・・・」

せめてその香りくらいは覚えていたかった。あの透明飴かけ餡ドーナツのようなボトル・・・

「それはそうだろうね。だって、一服盛ったから」
「え? 今なんて言った?」
「一服盛った」

驚く俺。なのに葵は涼しい顔をしている。

「い、い、い、一服盛ったって・・・」
俺、男で良かった。ののかが酒を飲める年になったら、知らない男とは絶対一緒に飲んではいけないと教えよう。

「安心して。そんなに変なものは飲ませてないよ。もうかなり酔ってたから、すぐに効いてきたし。幸せそうな寝顔だったなぁ」

「お、俺を眠らせてどうするつもりだったんだ~!」

どうするつもり? 死体(?)の隣に転がすつもり。
分かっていても、俺は言わずにいられなかった。

そういえば昔、「女房酔わせて、どうするつもり?」ってCMがあったなぁ・・・

サントリーローヤル12年




◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇




「あなたを眠らせてどうするつもりだったかっていうと、うーん」
葵は無意識にか、喉のあたりをポリポリと掻いた。

「とりあえず、かな?」
ののかなら可愛らしく見えるだろう角度に、首をかしげて言う。だけどいくら美形だとはいえ、ハタチを越えた青年男子がやっても全然可愛くない。

「と、とりあえずで、初対面の人間に一服盛るな~!」

俺はちゃぶ台返しをしたくなった。いや、目の前にあるのはちゃぶ台じゃないけど。ていうか、物凄く高級そうで、傷でもつけたりした日には弁償がコワような代物なのだが。

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「うーそ。嘘だよ。とりあえずってことはないよね?」

そんな非常識なこと、するはずないじゃない。そう言って葵は爽やかに笑って見せるが、信用できるもんか。こいつを少しでも知った今では、やたらと胡散臭く見えるにっこり笑顔を、俺は睨みつけた。

高山と、芙蓉&葵の双子。父と子という関係は破綻したのかもしれないが、こいつら、似てるんじゃないのか? <笑い仮面>とにっこり攻撃×2。

怖い。怖いぞ。

「じゃあ、どういうつもりで俺を眠らせたっていうんだ?」
俺は声を低めて凄む。返答次第では・・・

このテーブル、引っくり返してトンズラしてやる!

「あなたが葵たちと出会った夜の次の日、ちょうど夏至の日に・・・」
ぎりぎりと葵を睨みつける俺をふんわりいなすように、静かな声で芙蓉が話し始めた。

「あたしたち、父がある取り引きをするっていう情報をつかんでいたのよ、このホテルの、ここと同じフロアで。あたしたちは、それを阻止したかった」

「・・・」
俺は芙蓉の顔を見つめた。

その唇にきれいに引かれたルージュの赤が、あの日を思い出させる。
真っ白なドレス、真っ黒な髪、真っ赤な唇と、そして・・・

あの真っ赤な血。

俺は一瞬眩暈を感じ、片手で顔を覆った。
「あれは、何だったんだ? そうだよ、女は死んでた。胸にナイフが刺さっていたんだ。あの、血の量・・・ 芙蓉・・・きみがここにいるなら、あれは誰だったんだ?」

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