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テーマ:恋愛について(2606)
カテゴリ:ひとりごと
コンビニや大型スーパーから花火が消え始める中途半端に暑い時期。 それが今。 在庫の半額値札が目立ち始める時期。 それが今。 4年前まで、この時期がとても好きだった。 4年前まで、この時期はたくさんの花火を買い込んでた。 まとめ買いした花火を愛車のトランクへしまい込む。 バレたら困るのか?ってくらい奥の方へと。 確かにバレたら困るけど、そのときの僕は期待に満ちた表情だったと思う。 これは彼女の為に買ったんだ。 そんな満足感があった。 安売りしてる花火で彼女を喜ばせようなんて、安易な考え方かもしれない。 でもこれは、自分なりに一生懸命考えた結果でもある。 別に過ぎ去る夏を惜しんで、彼女と花火をしたいからじゃない。 花火の出番は冬。 別に何の記念日でもないのに、 「花火しようか?」 そう言って彼女の驚く顔が見たいだけだった。 二人の間では恒例行事となっていた冬の花火。 彼女はいつも笑顔だった。 本当に嬉しそうに、舞い散る火花を眺めていた。 安売りの花火が、夏以上に輝いていた瞬間でもあった。 冬の闇に、場違いな花火。 場違いだからこそ幻想的だった。 彼女の笑顔を見ているだけで、僕は幸せを感じていた。 4年前の9月、冬になればまた同じ幸せが訪れる・・・、 それが当たり前だと思っていた僕は、大型スーパーの駐車場でトランクに花火をしまい込んでいた。 この時、冬が来る前の「さよなら」は想像していなかった。 4年前、彼女より先に社会に出て、仕事に没頭してたあの頃。 先輩や上司からの期待、営業目標、それらに対して必死で応えてきた。 それなりに結果も残せたと思う。 もちろん、すべて彼女との時間を犠牲にした結果だ。 彼女が自分を必要とした時、自分は何もしてあげられなかった。 仕事を言い訳にしていた。 そんな自分を肯定していた。 それなのに、自分が辛い時は彼女を頼った。 ありのままの自分をさらけ出してるつもりだった。 それもまた、言い訳だった。 仕事で疲れてる自分に、彼女は優しく微笑んでくれた。 「大丈夫だよ。」 僕は甘えていた。 彼女の存在を当然の様に感じていた。 11月、秋も終わりを告げる頃。 「好きな人ができた。」 助手席で彼女はそう言った。 信じられなかった。 僕は彼女を問い詰めた。 「何で!?」 「どうして!?」 彼女は下を向いたまま、「ゴメン・・・。」と力ない返事をするだけ。 泣きそうな彼女を自宅へ送る。 何を言って彼女をつなぎとめる? そんなことしか考えられずに、僕は運転していた。 本当に自分のコトしか考えていなかった。 自宅に着き、助手席から降りた彼女は 「ありがとう。」 そう言ってマンションの階段へ向かって行った。 「送ってくれてありがとう。」だったのかもしれない。 でも彼女の後姿は「今までありがとう。」という本当の“さよなら”を感じさせるものだった。 それからの僕は彼女をつなぎとめようと必死だった。 「ただの気まぐれだ・・・。」 認めたくない自分がいた。 「大丈夫だよ。」 彼女の一言が根拠の無い自信だった。 それが彼女の強がりだったと気付かなかった。 もちろんそんな僕に彼女が再び笑顔を向ける事はなかった。 クリスマスイヴ、彼女を街で偶然見かけた。 僕と別れてから見なかった表情。 去年のイヴと同じ様に、嬉しそうな横顔だった。 彼女の嬉しそうな表情は僕以外の誰かに向けられている。 それを実感したくなかった。 声をかけることもできず、僕はその場を後にした。 そして、それっきり彼女を見かけなくなった。 あの日から4年が過ぎた。 大学を卒業して地元で就職したとか、結婚したとか、子供が出来たとか色々周りから情報は入る。 さすがに4年もたてばお互いの環境も変化するだろう。 いつの間にか僕も彼女を思い出さなくなっていた。 今となっては彼女に会いたいって気持ちすらない。 友人と花火をするとき、ふっと彼女の表情が横切るだけだ。 真冬の花火に喜んでた笑顔が。 ← クリックしてくれれば嬉しく思ったりして。 人気blogランキングへ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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