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テーマ:囲碁全般(752)
カテゴリ:十大News2009
hexa's 囲碁十大News 2009 第8位 全集ハンター ヘキサ 棋譜はSGF(Smart-Go-Format)で集めるのが、その名の通りスマートかもしれないが、そんな時代だからこそ、逆に、場所をとる和綴じ本に憧れてしまうのかもしれない。そもそも私は本好きである。中身の情報が見たいということはもとより、本という質感、その実体が好きなのだ。背表紙の表情、手に持ったときの厚み、重さ、そして表紙の肌触り、中紙のしなやかさ、ページをめくる音、そしてインクと紙の匂い。なかでも、和綴じの打碁集は格別の感触である。ストレートに言えば、"打碁集フェチ"かもしれない。 昨年、GO!さんとの十番碁を打ち終えた年末に、ぼんやりとではあるが、思ったことがある。僭越ながら、「来年も打ち込む」というものだ。向先で10目近く負けた碁もあったのに、である。不遜なことだが、年が明ける前に、向2子の戦いを既にイメージしていた。そして、秀哉という名が、天から降ってきたのだ。それは、"秀哉が、私が一番多く並べた棋士となった"と書かれていたnipparat総裁の記事の記憶につながり、なにかの賞品で貰ったという、その『本因坊秀哉全集』に想到した。それはアカシヤ書店で見かけていたし、日本囲碁体系の秀哉の巻でも、たしか向2子のこなし方が賞賛されていたように思う。「秀哉」という響きが、nipparat総裁に生で教えていただいたときのしなやかな手つきの映像と重なり、総裁が一番多く並べたという秀哉の棋譜を、私も並べてみたいと思った。そして1月に秀哉全集(普及版だけどね)を落札。向2子の碁ばかり選んで並べ始めたというわけだ。一般にも「力碁」の代名詞のような言われ方をしている秀哉だが、とにかく筋、筋、筋という感じを受けた。今思えば、GO!さんとの戦いは、序盤作戦で先行され、100手までで敗勢というのがお決まりのパターンだけど、最後に力を出して、私が幸いするという碁が多いように思う。それを評してか、GO!さんに「勝てば力碁」といわれたが、手筋はズンドコでも、気合いは負けないという気持ちは確かにある。結局、第二次十番碁は、第8局で私が打ち込むことになり、残り2局を向2子で打つことになった。余談だが、第9局は黒の大石を撲殺、向2子でもなんとか打てるという感触を得た、というのは自信がないが・・・。 続いて落札したのが、『藤沢秀行全集』だ。これは本当にいくつもの偶然が重なり、破格で手に入れることが出来たのだが、その第一巻を並べている最中に、秀行先生が亡くなられた。このことが、"強烈な"印象として残っている。碁を始めて最初に好きになった棋士だったし、この「碁盤を囲んで」でもおなじみの藤沢里菜さんのおじいちゃんでもあるわけで、秀行先生の全集を並べ尽くすまでは死ねないなと、思っているくらいだ。先日放映された、秀行先生の「迷走」のなかで、初段の頃の碁について語られる下りがあったが、「32だよ、あんな手は、今の碁打ちに打てるヤツはいないね、まあ、今の俺なら、打てるとは思うけど・・・」と満足げに話す秀行先生の表情が実に良かった。その碁も、第一巻に納められている。低段の頃は、記録係が付かないので、突然六段になっていたりしているけど、それでも高段の1300局というのは、圧倒的な情報量だ。並べ終えたときに、自分がどう変わっているか、楽しみである。低段の頃の譜は、『秀行打碁選集』か、日本棋院のデータベースで見られるかもしれない。 月に1局というと、30日のうちの1日ではあるが、十番碁を始めてから、GO!さんと碁を打つことを忘れたことはなかったように思う(「ヘキサさん、考え過ぎ!」とか、GO!さんに言われそうだけど)。そのGO!さんが、高川先生を好きで、並べていらっしゃることは折に触れて聞かされていた。だから、あの濃い焦げ茶色の高川全集を、なるべく早く(焦ってますね、私)並べてみたいと、昨年からずっと思っていたのだが、今年、これまた偶然が重なって、近隣の古書店で入手することが出来た。『現代の名局』では、本因坊戦9連覇の譜が中心で、バランスというか、ヨセの碁が多かった印象を受けていたが、この全集を並べ始めて、最初の方は、それこそ力碁っぽいのが多いというのを知った。たしかasutoronさんも、そんなことを書いていらしたように記憶している。高川全集について、始めて知ったのは、高校時代の『囲碁クラブ』の予約受付の広告だった。なにか、"流水不争先"とか、"恬淡の境地から、みごとなバランス感覚が結晶"とか、そんなコピーだったような気がする。棋譜を並べているところを横から撮影した写真だったかな。文科系の大学教授のようなその表情から、バランス感覚という印象が強いが、初期は力碁というのも面白い。7年くらい前に趙治勲先生の初期の打碁集を並べたのだけど、その巻末に「現代棋士論」という文章があり、そこで、高川先生について書かれているのを読んで、えらく興味を持ったものだった。棋風が全然違うと思う治勲先生が、高川先生を取り上げているのが不思議な感じがして、"またいつか、高川全集を紐解くときがあるかもしれません"という言葉だけ、よく憶えている。高校時代の記憶、治勲先生の文、そしてGO!さんの好みということがつながって、ようやく手元にやってきた『高川秀格全集』を、時間はかかるけど、細々とでも並べ続けていきたい。 「迷走 藤沢秀行という生き方」で、「ぼかあーね、秀行の提灯持つような番組には出たくなかったんだよ・・・」などと憎まれ口を叩いていた坂田先生だけど、「ホント、強えー」と、かの出雲屋さんが語っていらしたのがアタマに残っていた。"初段の時からハチャメチャ強えー、特に6巻なんておすすめ"とね。『坂田栄男全集』は赤表紙、だから秀行全集は青表紙なんだって、妙に納得してしまう。とにかく仲悪かったらしいですから(苦笑)。hidewさんが、「坂田全集と秀行全集を交互に並べると・・・」と書いていたように思うけど、両極を知るという点で、効果的な勉強法なんでしょうね。なんていうか、同じ並べるなら、ハチャメチャ強えーという棋譜のほうが面白いだろうし、それこそ、赤と青を交互に並べて、アタマをグチャグチャにしてみたいという衝動に駆られますね。そういうわけで、来年の自分の碁が怖いです。 そんなこんなで、突然全集ハンターとなった今年でしたが、厚みと一緒で、投資は回収しないといけませんから、シコシコと並べております。強くなるかどうかなんて、関係ありません。並べる行為自体が快楽なんですから。もう充分投資したというわけで、来年は一切の棋書を買いません・・・ただし高尾九段の『基本定石事典上下』を除いては、あと・・・。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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