凍えたココロ

何の予定も入れていない日曜日。ぐっすり眠る事ができた。

言わずもがな、療養中の私にとっては毎日が日曜日であるには

違いない。けれども、病院へ足へ運ぶ事、病院へ主治医と話す為

電話をかける事でさえも負担になっている事は事実である。

その証拠に、土曜日電話診察をした後は過食衝動が突き上げて

きてどうしようもないのである。






今日は少し遅めに目が覚めて、いつものスケジュール通り事を

進めていた。シャワーを浴びると、心身ともにすっきりして良いが、

とても疲れてしまう。原因は解っている。栄養が足りないからである。






そしてスーパーに過食食材を買いに行くとなると、身体の調子が悪くなり

お腹を下したり深い抑うつ状態に陥ったりする。

兎に角今は人の多いところへ行きたくない気持ちで一杯であるから･･･。

やはり休日の今日はスーパーに人が沢山いて、途端に頭がざわざわし始めた。




私は此処で何をしているのだろう。

食べて吐くものを次々とカゴに入れていく虚しさ。

こんな事が毎日毎日繰り返される位なら消えてしまいたい。

耐えられない。もう嫌だ。こんな事を繰り返すのはもう嫌だ！




そのような言葉というか気持ちで頭も心もざわざわと波立ち始め、

カートを押してうろうろとしている内に酷い抑うつ状態に陥るのである。






今日も昨日と同じく遠回りをしてスーパーへ向かった。

薄曇の夕方。白い月は霞んで見えて、飛行機雲が空を縦断していた。

新鮮な空気の匂い。道端で必死に生きている花々。

目に映る昨日とはまた違った風景が、少しだけ心に元気を与えてくれる。






反面、日中は必死で拒食する事、夜になれば抑制が取れたように

過食嘔吐に走る事は途轍もなく苦しく虚しい。




『食べたい・食べたくない』




と言った思考の繰り返しである。






スーパーには幸せそうな子供連れの家族、夫婦、これからパーティーでも

始めるのか、携帯で相談しながらお肉を買い込む若い人達。

私はただ只管過食嘔吐するためのものを安上がりになるように吟味する。

本当に食べたいものなど食べられた試しがない。

私が食べ物を選ぶ基準は




『吐き易いもの』

『安いもの』

『少量でも満腹感を得られるもの』




こうして書き出してみると本当に虚しくなる。

私が最後に楽しく笑いながら食事をしたのはいつの事だったか･･･。

太る事も気にせず、お腹一杯で幸せだと感じられた筈である。

でも今は何か食べ物が胃の中に入るだけで不快感を覚え、

過食嘔吐に繋がる。






この頑強なまでの『痩せ願望』と『太る事への戦慄が走るまでの恐怖』が

無くなるまで普通に食事をする事は出来ないであろう。

そしてまた今日もこれから過食嘔吐を始める事は目に見えている。






自分の最適なペースを見つけるのはとても難しい事だと悟った。

だけどもう少し、しっかり構えて心の余裕が出来ればいいなと思うのである。