凍えたココロ

木曜日は可燃ごみの日である為、早朝ゴミ出しに行く。

まだ雨は降っていなかったので、家へ入る前に桃の木に

触れる。まだまだ小さな桃の木であるが、

青い実がまだ５～６粒生っている。

柔らかな産毛に包まれた桃の実を撫で、植物の力強さを

感じた。その横に生えているペパーミントの葉も清々しい

香りを放っている。朝の空気はなんて美味しいのであろうか。






お薬によって深い深い眠りから覚めた後、外はもう雨模様で

薄暗かった。晴れた日が続いていた為か、日中から薄暗い空は

重い感じがした。目覚めても何にもする気になれないのであるが、

強迫観念の力は物凄い。怠い身体を突き動かしてシャワーを浴びた。

まだ元気があった頃は、シャワーを浴びながら鼻歌を唄えていた。

しかし今はそんな余裕は微塵も無い。シャンプー、コンディショナーを

終えた後ぐったりしながら身体を隈なく洗う。非常に疲れてしまう。




日に日にうつ病は重くなり、抑うつ状態、

虚無感で心身ともに覆われる。




過食嘔吐にしたって、本当は

『食べたくない！嘔吐したくない！

食べ物を見ただけで吐き気がする！』

と言った状態なのである。しかし、今の私にはこの症状が必要な

ものであるみたいで、いつの間にか過食嘔吐が始まっている。

それこそ『強迫観念の為せる業』なのであろう。






もう苦しい、苦しい。こんな症状に毎日振り回されて虚しい。






何が此処まで過食嘔吐に執着させているのであろう。

勿論『太っては駄目だ！もっともっと痩せなければ』

という強い思いが大きな影響を及ぼしている感覚はある。

しかし、日中は何も食べたいと思わないし、過食嘔吐の

衝動も少ない。しかし私は数々の重複した病によって生活に支障を

きたしている事だけは確かである。






今日は些か涼しく、肌寒い日であった。暑い時間を過ごすよりは

楽である。スーパーへ行く途中、大粒の雨が降る中ゆっくり歩いた。

雨の懐かしい匂いは過去を想起する。そして私は雨の日必ず

口ずさむ歌がある。

Ｃｏｃｃｏの『Ｒａｉｎｉｎｇ』である。

傘で顔が隠れるし、小声で口ずさむので他の人には聴こえない。

私の好きなフレーズは

『今日みたく雨ならきっと泣けてた』

と言う部分である。雨の日だからこそ唄えるのである。

この曲はＣｏｃｃｏが十代の時に作った歌で、彼女の気持ちが

すんなりと心に沁みこんで来る。私もそんな十代を送ったから

であろうか･･･。






入梅して、天気予報では空梅雨では無く、かなり雨が降ると

予測していた。雨の日はスーパーへ行く為に外に出るのも

辛くなる。けれども、この雨雲が私の代わりに泣いてくれて

大きな雨粒を降らせてくれていると考えを巡らせると、

この雨に思いっきり打たれたくなる。そして私の心の

どす黒い部分を洗い流してもらいたいと感じる。






夜は、辛い。そして、長い。

今日も明け方まで過食嘔吐をしてしまうと感じると

かなり憂鬱で虚無感を振り払えないが、焦らずゆっくりと

自分を見つめてやるべき事を進めて行きたい。