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2006.10.27
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夜、空を見上げると

三日月が輝いていた。

それは微笑んでいるような

形をしていて、

沈んだ夜の空気と共に

寂しげでもあった。







これまでは、心が酷く

動揺することがあると、

1週間くらい浮き足立ち

落ち着かなかった。

しかし今日の電話診察で

主治医と話し始めたら、

「意外と落ち着いているね」と

仰った。

弟が自損事故を起こしたのは

月曜日である。

確かに2~3日は心が落ち着かず

不安で堪らなかった。

しかし心配していた脳内出血もなく、

徐々に快復している事で、

安心して落ち着いた声音で

主治医と話せたから

気付かれたのであろう。

そしてこれは良い兆しだと仰った。







そして、とろとろと微睡んでいる状態

確保できているのも、『大切な事』と

仰っていた。

今までは、惰眠を貪るなんて怠けていて情けない 

と想っていたのであるが、

心身の疲労、苦しみを取るには最適な

方法なのであるらしい。

主治医曰く、

「微睡む事は素晴らしい」

と言う事である。







確かに、以前の私は微睡む暇も無く

過食衝動が次から次へと襲ってきて、

苛々して落ち着かず、結局雪崩れるように

過食と嘔吐に走っていた。

でも今は幾分落ち着いている。

だからこそ心身のメンテナンスを

少しずつ出来るようになったのでは

ないであろうか。

『メンテナンス』・・・。

少し機械的で馴染み難い言葉であるが、

これは、こころの小さな傷も見逃さず、

丁寧に処置をする意味が含まれている。

小さな傷を、小さい内にケアをして

疎かにせず、治していく事が大切なのである。

心身のメンテナンスを怠ると、

小さな傷が膿み始め、広がり大きな傷に

なる事もあり得る。

手に負えなくなる前に、自分の治癒力を信じ

静養し、ケアをするのは大事である。







けれども気を付けなければならないのは、



『悪いものだけを摘み出すだけでは駄目だ』



と言う事である。

表現は悪いが、物が腐り易い場所で

腐った物だけを排除しても、その場にいる限りは

やがて全ては腐ってしまうのである。

だから以前、私が自殺したかった理由である、



「私さえいなければ皆上手くいく」



と言う考えは間違いなのである。

やっとその事に気付けた。







けれども、どうしても生きる事に

意味を見出しがちである。



『理由や意味があるから生きる』

『理由や意味があるから死ぬ』

『理由があるから喜び、動ける又は哀しく動けない』・・・。




人間は、やはりこの世で純粋に



『生きているから生きる』



という事は難しいのであろう・・・。







そこで大切なのは

『共感する事』

なのであろう。

共に哀しみ、共に喜び、共に生きること。

それらがこの世の中では疎かにされている感じが

否めない。

特に私は、小さい頃から必死で『良い子』でいなければ

ならなかった為に、

頑張り過ぎて周りが見えなかった。

でも今は、同じ病に苦しんでいる

何百万人もの人々と、この辛さ・苦しさ・寂しさ・哀しさ等を

共感できるのではないであろうか。

共に感じる事。これはすごく大切なものだと思える。







繋がりや連帯感。

私にはそれが少し欠けている様に思える。

だから、この世を悲観して

「祖父が死んだら私も死ぬ」

「祖母が死んだら私も死ぬ」

「母が死んだらもう生きている意味が無いので私も死ぬ」

と容易く考えてしまうのであろう。

これでは、周囲の家族・親類の哀しみを共感できて

いない事になる。

ネガティヴな感情も含めて、様々に人の心と

繋がり、共感し得るようにならねばならないであろう。

そして『メンテナンス』を欠かさず、

常に自分のこころや側にいる大切な人のこころを

思慮し、観照する事が大切なのである。

そして焦り過ぎず、自分に出来る範囲の中で

こころのケアをしようと感じている。

ほんの少しずつ、前を見つめながら歩んでいければ

それだけでも何よりの行状であろう。





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Last updated  2006.10.27 21:00:16
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