凍えたココロ

目が覚めたら

独りだった。

いつもの事なのに

何故か今日は

寂しかった。







特に何か食べたいという

気持ちも無く、

一応何かを

摂取しておこうと想い

母が作ってくれていた

“命のスープ”を

ゆっくりと飲んだ。

スープに野菜の甘さが

溶け込んでいて美味しく、

こころがホッとした。

その後、突如

「プリンタをＰＣに繋げよう。」

と思い立った。







先ず、梱包されている

箱から取り出すのが

大変であった。

想ったよりも大きいので

扇風機の風に吹かれながら

黙々と作業を始めた。

説明書を読みながら

電源コードを繋いで

電源を入れた。

インクカートリッジを

セットしていたら

何だか面倒臭くなってきた。

しかし、途中で放り出すのは

嫌いなので

汗をかきながら

今度はソフトウェアＣＤ－ＲＯＭで

ＰＣにインストールした。

ただクリックして待てば良い

という作業であるが、

全てが終わった時、

何の失敗も無かった事から

何だか一仕事やり終えた

気分になった。

普通の人にしてみれば

なんて事ない簡単な作業だと

想うけれど、

私はこれだけで

疲れてしまって

伊丹空港から

舞台がある場所までの

地図をプリントアウトする

気力を失った。

また明日で良いやと

気分転換のため

カクテルを作った。







カクテルは、

甘いので太るのが怖く

少量に留めた。

その代わり、

他のリキュール類よりも

豆乳は多目に配合した。

蛋白質が不足すると

また浮腫んでしまうからである。

出来上がったカクテルは、

豆乳が程よくふわりと

泡立っていて美味しかった。







昼過ぎ、

いつもの過食を

始める前、

「何故、私はこんなにも食べたいのか。」

と考えた。

勿論生きていく上で

ストレスを感じる事もあるが、

それを想い出しながら

食べる訳ではない。

“何処までも満たされないこころ”

“空虚なこころ”

“自分に対する嫌悪感”

“不安感、寂寥感、孤独な気持ち”

等の様々な想いを

考えないようにする為に

食べているような気がする。

今日の私はそんな感じであった。

否、いつもそうなのかも知れない。

けれども、

“惰性”で食べ始める事もあれば

「時間の使い方が分からない。」

という理由で過食と嘔吐を

する事もある。

また、食べている時は

辛い過去も、情けない現状も

忘れていられる。

過食と嘔吐については

突き詰めるとキリが無いので

またの機会に考えたい。







でも毎日続く

この病症は

苦しい。

自業自得である事は

分かっている。

また、繰り返す事によって

身体を痛めつけている。

栄養もまともに

摂取していないので

立ち眩みも酷い上に

抑うつ状態に陥りやすい。

自分自身を否定する気持ちが

途轍もなく大きくなって

「私なんかが生きていて良いのか。」

という疑問に行き着く。

もしも、大学生の頃みたいな

生活が続いていたら、

私は間違いなく

死を選んでいたであろう。

毎日、食べて吐く行為を

詰られ、責められ、罵られる。

こんな苦しい事止めたくて

仕方ないのに

どんどん生きて良い居場所が

狭くなってきて

不安が募り、

また食べ始める。そして吐く。

手首を傷付けて

それによって自分が生きているという

“罪”を贖おうとする

自己満足の想いに浸る。

手首を傷付ける事には、

「こんなにもこころが痛いんだ。」

というカウンセラーや主治医に対する

表現と、

「私は悪い事をしているから

　こうして痛みで贖罪せねばならない。」

という自分勝手な考えが含まれていた。

けれども、家庭環境が落ち着き

母と支え合うように

生きるようになってから、

自傷は治まった。

これは、苦しみを

母と共有出来るようになった事も

影響しているように想う。







夕暮れの時間、

空の色が美しかった。

けれども買い物をしている間に

通り雨が降ったようである。

乾いた洗濯物を

取り入れなかった事が悔やまれる。

今日は朝の過食がなかった分、

余裕があった為、

プリンタの設定が出来た。

簡単なことでも嬉しく想えた。

明日は、祖母の家へ行く約束をした。

ただ、午前中は祖母が

官房長官が来る全日○ホテルに

行かねばならない為、出掛けるらしい。

私は、母から祖母の家の合鍵を

渡してもらって

午前中に支度をして

気分が落ち着いたら出発する事にした。

行けたら良いなと想っている。

頑張ろうと想える。

そして祖父母とたくさん

お話がしたい。