敏腕検事に助けられたら、手加減なく愛されました~運命のイチャ甘同居~
2024年4月刊ヴァニラ文庫著者:玉紀直さん「それなら同棲でもしてみますか?」不眠症に悩む麗は運命の人を見つけてしまった。那智とくっついていれば眠れるのだ。そう告げると検事でモテすぎな彼が一緒に暮らしてくれることに!?那智は麗を眠らせるために一緒にベッドに入るけど、甘く抱きこまれて身体を寄せ合えばトロトロにされてしまって。だけど、そのことが過干渉な両親にバレて!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 春野麗=グレー企業に勤める会社員。毒親からの束縛と合わさりストレスで不 眠症を患っていた。 久我那智=東京地検の検事。麗から運命の人と言われ同棲を提案する。一般事務として働く麗は、ある悩みを抱えていた。自分の両親が異常だと気付いたのは子供の頃。娘を束縛し自分の思い通りの行動をしないとヒステリーを起こして泣きわめく母と、母さんを泣かせるなと父は麗に暴力を振るう。世間一般ではこういう親は「毒親」と言うのだそうだが、少しでも自由になりたくて大学卒業と同時に家を出ると決めたものの、結局最後までゴネられて父の知り合いの会社に就職する事、親の決めたマンションに暮らすことを条件に渋々だが許された。今は定期的に母がお世話と称して部屋を訪れている。会社では父の頼みなのか上司が監視しているらしく、同僚達との何気ない会話でも迂闊な事は口に出来ない。いっそ結婚すれば親からの束縛も薄くなるかと、マッチングアプリに登録すれば、知り合った男性から詐欺に遭い借金を背負わされた時には泣きたくなった。おかげで毎日訳の分からない不安に苛まれてよく眠れない。2時間くらい寝られれば良い方で、毎月の返済のために少しでも稼ごうと残業し週の大半を終電で帰るのも良くないのかもしれない。そんなある日、いつものように終電に乗り込んだ麗はスーツ姿の男性の隣に座った途端に何とも言えない安心感がこみ上げて爆睡。はっとして目を覚ますと駅のホームのベンチで先程の男性にもたれかかっていた。あんなに眠れなかったのに、この人は運命の人に違いない。しかも、わざわざ爆睡する自分を電車からベンチに運んでくれた挙句、付き添っててくれたなんて。勘当した麗は、思わず「私と結婚してくださいっ」とプロポーズしていた。男性は呆気に取られていたが、まともに取り合わず、麗をタクシー乗り場に連れて行き、運転手に札を渡すと彼女の家までと頼むとドアを閉めた。随分とカッコイイ人だった、年齢は30代後半と言った所か。また会えたらいいな。運命の人との出会いに久方ぶりに機嫌が良かった麗ではあったが、数日後、友人からの電話によって、自分が共通の友人の結婚式を知らずに欠席していたことを知った。招待状自体は3ヶ月ほど前に発送していたそうで、見た覚えのない彼女はすぐに母の仕業だと気が付いた。母は麗の友人を毛嫌いしていたから。事情を話すと麗の両親の異常さを知っている友人は納得してくれたものの、一気に気落ちしてしまいまた眠れなくなっていた。翌日も、何とか仕事をこなし終電に乗り込んだ麗は、あの男性から声を掛けられた。再会に心が弾んだけれど、心労が重なって彼女は男性の目の前で倒れてしまった。目を覚ますと彼が付き添ってくれていて、謝り倒す麗はそのうち涙が止まらなくなっていた。訳ありと思ったのか、彼は場所を移動しようと提案。真夜中だったのでラブホテルしかなかったと謝られたが、少し眠った方がいいとも言われた。彼は久我那智と名乗り、東京地検で検事をしていると言う。久我は仕事柄人間観察が得意らしく、実は先日の彼女の様子を見て大きな不安を抱えている事には気付いてはいた。本人から現状を詳しく聞くとかなり深刻だ、毒親からの束縛にスキルアップできない会社も退職出来ず、マッチングアプリで知り合った男性からの詐欺被害。これは確かに眠れなくなるだろう。だがなぜか自分とくっついていれば眠れるといい、運命の人だと言っていた。少し考えこんだ久我は、ならばお付き合いしましょうと、恋人を不眠症にはしておけないと同棲を提案して来た。願っても無い申し出に麗は飛びつき、翌日には着替えと身の回りの物を持って久我のマンションに転がり込んでいた。両親には当然内緒。定期的に自宅に戻り痛んだ食材を処分したりで少し生活感を出しておいたので暫くはごまかせるはずだ。同棲してからというもの、毎晩久我とくっついているおかげか驚くほど眠れる。顔色も良くなり、自然と笑みも零れていたのか、同僚達からも何か良い事でもあった?と、聞かれる程。久我の話によれば、この会社も所謂グレー企業というものなのだそうだ。一見アットホームでも仕事は簡単で単調、スキルアップも望めないのでここに染まると転職も難しく、結果辞められなくなる。寧ろ、これが父の狙いなのだと判って身震いした。いつまでも麗を束縛するために、社員を飼い殺しのような扱いをする会社に預ける。久我との同棲生活も10日目、彼に連れられやって来たのは弁護士事務所。久我の弟だと言う仁美が詐欺の件で相談に乗ってくれるそうで、ああいう輩は同じ手口で何件も引き起こしてるからすぐ見つかること、慰謝料込みで搾り取ってやると約束してくれた。弟に任せておけばすぐに片が付くと聞き、肩の荷が一つ降りて少々浮かれていた彼女は最近気にかけてくれている先輩社員から恋人でもできたの?と聞かれてつい、肯定とも取れる反応をしてしまった。その日、母から怪我をしたので一度家に帰ってきて欲しいと言われ、早退した麗が実家に戻ると久我とのことがバレたのか怒り心頭の両親がいて・・・。色々常識が通じない毒親って怖い。この数日前、恋人にベタ惚れで惚気ていると久我の事務官から苦情を言われていた麗は、母からの呼び出しについても報告すべきか迷っていました。それが徒となり実家に閉じ込められ父から躾と称してモップで殴られかけた彼女を助けたのは久我でした。彼は両親にこれは立派な犯罪だと説明し、書類送検されたら困るのはあなた方だと諭して、麗を実家から連れ出すことに成功。社員の中に久我の協力者がおり、その人の連絡のおかげと知ります。この騒動後、久我から両親との絶縁という名の分籍を薦められ、彼のもう一人の弟・智流がその件を担当してくれることに。父の知り合いなのとグレー企業にいつまでもいるのは良くないと退職の意向を伝えた麗でしたが、懲りずに両親が来襲。再び危機に陥るも協力者からの連絡で駆け付けた久我の登場で事なきを得るのでした。彼から大きな釘を刺された両親は流石に拙いと思ったのか大人しくなり、進めていた分籍手続きも滞りなく完了します。両親の籍から抜けた麗に初めての家族にして欲しいと久我からプロポーズされて物語は幕。毒親本当に恐ろしす、でしたが相手が悪かった。麗にとって久我との出会いは本当に運命だったんだなぁとしみじみ。尚、今作は「コワモテ弁護士に過保護にお世話されています」のスピンオフで、そちらのヒーロー・智流さんとヒロイン・杏梨ちゃんもちょっとだけ登場してます。評価:★★★★★