マンション管理士イダケンが管理をグッと良くする

2015/10/21(水)09:43

マンションの適切な維持管理を阻む6つの厄災【新築時ゼネコン】

維持・修繕(242)

横浜のマンション傾きにおける杭問題は、二次下請け業者の親会社まで登場し、謝罪することになりました。区分所有者にとっては、二次下請けは直接の契約関係はなく、責任の当事者は分譲会社です。二次下請けの親会社がここまでのことをやるのです。売主の親会社はどのように社会的責任を公の場に示すのでしょうか?前回の日記でも書きましたが、契約の当事者が矢面に立たず、二次下請けばかりに責任追及している感じを受けることについて、違和感を感じるイダケンです。(マスコミの宣伝手法だけの問題でしょうか・・)さて、タイトルの連載シリーズ第1篇は新築時の施工した元請けであるゼネコンに着目していきます。(1)低予算による受注一. 競争が激しいマンション新築施工において、ゼネコンは積算は利益すれすれで受注します。なぜか・・新築マンションは請負金額にボリュームがあります。企業が箱モノの投資を控える中、売上目標達成のため無理して受注している状況があります。。粗利0%でも受注することもあるそうです。二. 受注後は、少しでも多くの粗利を確保するために、購買担当(仕入れを行う部署)や現場代理人(監督さん)は低い原価設定を社内で強いられます。安価で仕事を請け負う下請けの施工会社も、何とか利益を確保するためにもがきます。これが、手抜き工事、粗悪な仕上げが起きる原因になります。(2)限られた工期、集中する竣工時期一.  原価低減のため、ぎりぎりの工期で受注します。(工期が短ければ、現場経費が最小限に抑えられます)二. ぎりぎりの工期は天候不順の影響を大きく受けます。契約に定められた期間に建物が完成しないと違約金支払い義務が発生するため、工期後半は突貫工事を行なうことになります。三. マンションの竣工(引渡し)は新年度を迎える前の1~3月に集中するため、作業員(職人)の確保が難しい。それでなくとも職人の低レベル化が進んでいるのに、繁忙期に応援で、ゼネコンが普段使い慣れていない職人を集めると、更なる品質低下を招きます。四. 温度・湿気等の天候条件は品質に大きく影響しますが、突貫工事の場合、多少の悪条件でも無理して施工を行なうことになります。その結果、材料の本来あるべき品質が確保されず、施工後すぐに塗装の剥がれ、仕上げ面のひび割れ、貼りもの(クロスや長尺シート)の剥がれ等の初期不良が多発します。(3)企業合理化による慢性的な人員不足一. 現場に配置される社員は原則日・祝日しか休めず、かつ、工事後半突貫工事時には休日返上、昼夜問わないような作業もざらに行われ、過酷な勤務状況になります。二. 建築不況にあおりで、一部大手施工会社を除いては、勤務時間に見合うだけの十分な給与が支払われていません。三. 優秀な現場監督は、すぐに他社から給与増額を条件に引きぬきを受け、低い給与、つらい勤務形態の中ストレスをためて仕事をする人員しか残らなくなります。四.  繁忙期は社内の応援部隊を確保するのは難しい。突貫工事で多くの職人が出入りするのに係らず、管理する施工会社の人間が不足しているため、品質管理がままならない五.長引く建設業不況の影響で、優秀な技能作業員(職人)が不足。経験が浅く、不慣れな職人が、現場管理が至らない状況で、高い品質を求められても、絵に描いたモチになります。次回の日記に続きます。   にほんブログ村

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